「こんなに難しいのか」の衝撃から10年 健常者で車いすバスケにハマった理由「障がいは関係ない」
健常者として障がい者スポーツの魅力にハマった人がいる。車いすバスケットボールの天皇杯が1月31日、東京体育館で開幕。岡山ウィンディア(中国ブロック1位)の門屋明秀(4.5)は、伊丹スーパーフェニックス(近畿ブロック1位)戦に40分間フル出場。普段は理学療法士(PT)の31歳には、10年以上に渡って熱中する理由がある。

車いすバスケットボール天皇杯
健常者として障がい者スポーツの魅力にハマった人がいる。車いすバスケットボールの天皇杯が1月31日、東京体育館で開幕。岡山ウィンディア(中国ブロック1位)の門屋明秀(4.5)は、伊丹スーパーフェニックス(近畿ブロック1位)戦に40分間フル出場。普段は理学療法士(PT)の31歳には、10年以上に渡って熱中する理由がある。
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初めての天皇杯は疲労より楽しさが勝った。動き続けた門屋は汗だくだ。「結構疲れた」。それでも笑って言う。「もっとしたい」。リング下で体を張り、6得点とチーム最多の9リバウンド。「みんなで走り切れて、その中でも相手に合わせてどういう風にしていこうと話し合えた。今まで少なかったことなので次に生きてくると思う」。39-65の1回戦敗退でも、仲間との一体感が手応えに繋がった。
「障がいのある人もない人も共に高め合う共生社会の実現」を図る天皇杯は、2019年から健常者の出場が認められている。今大会は16チーム中14チームが健常者を登録。障がいレベルに応じ、1.0~4.5点まで持ち点があり、コート上の5人が計14点以内と定められている。健常者は4.5だ。

現在、通所リハビリテーションでPTを務める門屋は、吉備国際大1年時に車いすバスケを始めた。主に健常者がプレーするサークルが学内にあることを知り、PTに生かせればと体験。「乗ってみたら何も思い通りにいかない。こんなに難しいのか」と衝撃を受けた。1年ほどで「そこそこ」に動けるようになったが、自由自在の領域は遠い。
中学で野球、高校で硬式テニスに打ちこんだ運動歴が通用しない。「今までちょっとバスケができるとか、ボールを触れるというのと全然違う感覚」。だからこそ、その奥深さに惹かれた。「もうスポーツとしてハマっている。障がいも関係なくできるというのは凄い魅力」。気づけば競技歴は10年を超えた。「こんな綺麗な体育館で、観客の前でできて楽しかった」。緩んだ頬には充実感があった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)