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小林陵侑の覚醒を知っているか 欧州が「別の惑星の人間」と慄く、えげつない強さ

ライバルの視線釘づけ「みんな自分を見てる」…ジャンプの本場で注目度上昇も?

 ジャンプは急に飛び始める若手が出てくることも珍しくないものの、平昌で五輪連覇を遂げた昨季のW杯王者カミル・ストッフ(ポーランド)が「リョウユウはポジティブなサプライズ」と認めたように、やっぱり海外の選手にとっては驚くべきこと。そんなこともあって、控え室では視線が集中。「みんな(自分を)見てる。ブーツ見て、スーツ見て、上も見て」。肩こりしそうな環境にも本人は笑っていたが、ジャンプ台を離れても注目度がじわじわ上昇中だ。

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 ロシアへ移動する飛行機の中でのこと。「ポーランド人のおじさんだったんですけど、『君は、今総合1位の選手だろう』って言われた」という初ものを経験したそう。

 それが日本となると、「優勝した後にLINEニュースとか見たらフィギュアとか野球ばっかで……。あ、これには出ないんだって……」とポツリ。

 ジャンプは欧州との間になかなかの温度差がある競技。4年サイクルで晴れ舞台に招かれる日本と違って、人気が定着している国では、W杯をシーズン通して公共放送のライブで楽しめる。お世辞にもアクセス良好とは言えず、しかも文句なしに寒いジャンプ台が満員の観衆で埋まることもザラ。年末に行われる伝統の大会は、11月末に2万5500枚のチケットが完売している。

 葛西の“レジェンド”も、ジャンプの本場で言われていたことがソチ五輪の前に逆輸入されたもの。ドイツ「EUROSPORT」が、「ロシアでもコバヤシがライバルたちをおもちゃにする」と見出しをつけたほど容赦なくライバルたちを蹴散らす無双が続くが、それが日本まで届くにはもう少し時間がかかるかも。

 文句なしの絶好調にも「調子がいいのが僕くらいなので差が開くのかな。多分(トップ選手は今)最低限レベルのジャンプなんだと思う」と冷静なのは、ジャンプは好不調の波と切り離せないことを経験してきているから。

 それでも、「シーズン10勝」まで引き上げた目標に「チャンスはあると思う」と言い、ジャンプの完成度への自信は相当なもの。これまで、シーズン9勝以上で総合優勝を逃した選手は1人もいない。

(小林 幸帆 / Saho Kobayashi)

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