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議論渦巻くブレイキン判定「『クール』は数字で表せない」 IOCは過去に「主観の入る競技」除外案も…辿り着いた結論

IOC内で「主観の入る競技は除外しよう」の案で協議された過去も…

 IOCは以前から五輪での誤審や判定ミスに頭を悩ませてきた。ただ、スポーツから完全に主観を排除するのは困難だし、すべての誤審や判定ミスをなくすことも不可能。IOC委員で実施競技などを決めるプログラム委員も務めていた岡野俊一郎さんの話は忘れられない。

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「主観の入る競技は除外しよう」という案が出て、協議した。採点競技はダメ。柔道やレスリングなどの格闘技も審判の判断が大きい。サッカーなど球技でも主観は排除できないし、水泳の泳法違反などもビデオを使いながら最終的には主観。「次々とできない競技が挙がって、最終的には『主観があってこそのスポーツ』という結論になったんだよね」。岡野氏は笑いながら話していた。

 それでも、IOCは各競技団体に採点や判定の透明性、客観性を求めてきた。競技団体もビデオの導入や、ルール変更など応えてきた。フィギュアスケートや体操競技の採点方式は以前と大きく違う。アーティスティックスイミングも、今大会から個々の技に点数をつける新ルールを導入した。今回は日本人からみが多かったためか「誤審」が大きな話題になったが、大会全体を見れば決定的なミスは減っているように感じる。IOCや競技団体が努力してきた成果だろう。

 ただ、一方でIOCは「主観」に頼る新しいスポーツを仲間に入れている。サーフィンやスケートボード、次回大会では実施されないブレイキンもユース五輪では続く。「若者の五輪離れを防ぐため」とはいえ、透明性や客観性を求めてきた立場からは逆行している。

 もともと、五輪は「主観」で争ってきた。100年前のパリ大会では芸術も五輪競技。絵画や彫刻の「競技」が行われている。五輪には「主観」が大きい文化の側面もあったのだ。

 国際サーフィン連盟のアギーレ会長は「オリンピックには、もともとカルチャーがあった。我々が加わることで、再びカルチャーを取り戻す」と話した。主観をなるべく少なくしようとする「スポーツ」と主観が入ることも当然の「カルチャー」。五輪はこの先、どこに向かうのだろう。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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