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天才少女が“姿を消した”2年間 クライミング19歳・森秋彩、「伸び悩んだ」後に取り戻した原点

世界選手権でも「楽しいな」と思いながら登れた

 失意に沈み切ることなく、そのように消化していったが、成績を意識し過ぎた反省はあった。その後はコロナ禍の影響もあり、国際大会から遠ざかった。

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「クライミングを楽しむことを忘れていたから、登りたくない時は登らない、心から登りたいと思った時だけ登って、クライミング本来の楽しさというのを取り戻す。成績至上主義という観念を外していきたいなと思いました」

 そして森は戻ってきた。

「だから今回のような世界選手権という舞台でも、『楽しいな』と思いながら登れたのかな、と思います」

「楽しむ」。それがパフォーマンスを発揮させた。

 原点と言うべき「楽しむ」は、まさにクライマー森を育んできた原動力であること、競技に取り組む姿勢をも支えていることは、クライミングを始めてから現在までの来歴からも明確にうかがえた。(中編へ続く)

■森 秋彩(もり・あい)

 2003年9月17日生まれ。茨城県出身。小学1年生の時にクライミング競技を始めるとすぐに才能を開花させ、12歳で出場したリード・ジャパンカップで歴代最年少優勝を果たす。2019年8月の世界選手権では得意のリード種目で15歳にして銅メダルを獲得。22年4月に筑波大学へ進学すると、同年9月には3年ぶりに出場したワールドカップのリード女子で初優勝を飾る。今年8月のスポーツクライミング世界選手権のリードで優勝、複合で3位となりパリ五輪出場が内定した。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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