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希代の名ドリブラーから驚異の長寿選手に… カズが描いた“生き残る術”

衰えを食い止める努力と経験の生かし方

「キレは今でも失くさないように努力していますよ。でもどうしても瞬発力は年齢とともに落ちて来る。ただし一気に100からゼロに落ちるわけじゃないから、いかに90、さらに80で食い止めるかに努力しているわけです」

 カズは続けた。

「キレで勝負するのは、今でも変わらないと思うんですよ。でもやっぱりそれだけではダメ。今まで培ってきた経験を活かす。じゃあ、経験てなんだと言えば、相手の嫌がることを考えながらやるということですかね」

 ちょうど高速シザースを武器に、10代のクリスティアーノ・ロナウドが頭角を現して来た頃だった。

「フェイントをひとつとっても速ければいいというものではない。速いとマークする相手が混乱することはあるけれど、逆に速過ぎて反応しないこともある。1度スローダウンしてから速く、あるいはその逆もある。若い時は100%自分のペースでやっていた。でも結局ディフェンダーが一番嫌なのは、見透かされ、仕掛けられることですからね」

 この頃「スタンレー・マシューズを目指せ」というコラムを書いた記憶がある。初代バロンドール(欧州最優秀選手)の受賞者で、50歳までプロとして現役でプレーをした伝説の人。まさかこのハードワークが当たり前の時代に、本当にカズがマシューズを超えてしまうとは思わなかった。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe



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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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