型に“はまらない”のは悪か 平凡なしつけでは磨かれなかったロナウジーニョの天才性
キャリア晩年以降に出た悪い側面
もっとも、どこかのタイミングでロナウジーニョは何かをはき違えたのだろう。それは周りの影響も大きかったかもしれない。もともと、自由なライフスタイルの中でサッカーの創造性も発揮していたが、生活習慣があまりに乱れてしまい、肉体的な衰えへとつながり、インスピレーションを実現するスピードやパワーを失っていった。
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「全盛期のロニーなら、使わない監督はいない」
バルサの監督に就任することになったジョゼップ・グアルディオラは、そう言ってロナウジーニョの戦力外を通告した。二日酔いで練習に現れ、体調不良で練習を切り上げる。まさに悪い側面が出た。
しかし改めて問うが、ロナウジーニョは悪人か?
2018年に正式の現役引退を発表後、20年にはパラグアイに偽造パスポートで不法入国し、半年近くも刑務所で暮らすことになった。服役中のサッカー大会で大活躍。それがニュースになるのは、笑えない結末だ。
世界の頂点に立ったロナウジーニョは、そこで何か満たされたのかもしれない。サッカーそのものは楽しんでいたが、修練を積む感じではなくなった。そこで自分を見失ったのは自業自得だ。
しかし、“モラルがない”と一括りに語るべきか。束の間、彼が放った輝きは記憶に残るものだ。きっと、ロナウジーニョのような選手を育てることはできない。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)