[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

日本代表は「眩しい存在であるべき」 日韓W杯から20年、宮本恒靖が“スター不在”危惧

20年前と今では海外で活躍する選手の数は「雲泥の差」

 1990年代、日本のカテゴリー別代表は世界に出て、合宿や試合をこなした。そうして宮本らは97年のワールドユース(現・U-20W杯)でベスト8、小野ら“黄金世代”が臨んだ99年ワールドユースでは準優勝を果たすなど、結果を出して成長してきた。その経験が、2002年の日韓W杯で世界相手に怯まず戦えたことに繋がった。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 だが、トルコ戦で得点を奪えずに敗れたことから課題も見つかった。

「コンビネーションでのゴールも大事ですが、ソロ(単独)でゴールをこじ開ける選手が出てこないと、ベスト16やその上に行くのはもちろん、日本が安定した成績をあげていくのが難しいなというのを、トルコと戦いながら思いました。それは02年以降、今に至るまでの課題でもあると思います」

 初めてベスト16に進出したなかで見えてきたことは多々あり、当時の日本サッカー界は日韓W杯から多くのものを得た。宮本自身は、何が一番大きかったと考えているのだろうか。

「サッカーや日本代表に対する期待感がすごく上がっていた時代で、そこで活躍する選手たちはすごく魅力的に見えたと思うんです。あれを見てサッカーファンになったり、将来サッカー選手になろうと思った子供たちが数多く出てきて、彼らが今の日本のサッカーを支えてくれている。また、あの時にできたスタジアムから、今は全国にサッカー専用スタジアムができたり、環境面も遺産と進化が両立されていった。そうしてサッカー界が良い方向に進むキッカケになったし、その考えをサッカー界が常に共有し、今もその方向に進んでいるからこそ、ここまで連続してワールドカップに行けていると思います」

 1998年のフランスW杯以降、今年のカタールW杯まで日本は7大会連続出場を果たしている。だが、20年前の日本代表の輝きやチームにいた選手の個性を考えると、今は少し物足りなさを感じてしまう。

「20年前と今とでは海外でプレーする選手の数は雲泥の差ですし、単純に力が上がって凄いと思いますね。ただ、本当のトップでプレーしている選手はまだ少ない。それに本来、日本代表はスター選手の集まりであるべきだし、そこからさらに凄いスターを輩出していかないといけない。でも、今のサッカー界でスター選手は誰かと聞かれると、全員が名前を挙げるような存在がいるかどうか。プロ野球には大谷翔平や佐々木朗希が出てきて、子供たちはそういう選手に憧れるし、試合で見たいと思うじゃないですか。2002年から20年が経過して、サッカー選手自身は成長しているけど、まだまだ成長の余地がある。2002年、日本代表って眩しかったなぁじゃダメで、今もこれからも眩しい存在でいなければならない」

1 2 3

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集