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ラグビー・リーグワン開幕1年目総括 平均観客数3227人と苦戦、関係者が明かした実情

チーム運営担当者が語った集客の苦労

 では、この集客数で1年目のリーグワンはどのような数字を残したのだろうか。リーグ側の発表では、下記のような数値になっている。

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《リーグワン2022入場者数》
●ディビジョン1、2、3合計
(24チーム、150試合:レギュラー試合140、ポストシーズン10、中止28)
総入場者数:484,047
1試合平均 :3,227

●ディビジョン1(6チーム×2グループ、78試合、中止18)
総入場者数:328,617
1試合平均:4,213

●ディビジョン2(6チーム、34試合、中止2)
総入場者数:56,784
1試合平均:1,670

●ディビジョン3(6チーム、28試合、中止8)
総入場者数:23,704
1試合平均:847

●プレーオフ(4試合)
総入場者:63,585
1試合平均:15,896

 全リーグの総入場者は48万4047人。1開催会場あたりの平均観客は3227人。代表選手も多いディビジョン1では総入場者32万8617人、1試合平均で4213人という数字だった。

 もちろんパンデミックが直撃した数字なので、新リーグの集客力はかなり差し引かれてしまった。だが、もしコロナ規制がなければ、過去最高の集客を記録した2015-16年トップリーグの1開催会場平均6470人にどれだけの人数を上乗せできていたのだろうか。その回答は来季以降に持ち越されることになるが、リーグも、どのチームも集客が大きな課題なのは認めている。

 ある上位チームの運営担当者は、集客の苦労をこう振り返る。

「昨季のトップリーグまでは、チケット販売も親会社の社内販売や、社内での応援動員で無料配布などに実質的に依存してきた。そのため、外部の人たちへのチケット販売のノウハウは低く、まだまだ手探りの状態と言っていい。リーグがプロ化を打ち出している一方で、チーム側は昨季までの企業チームという姿から、ほとんど変化していないのが実情だ」

 また、他のチーム関係者は「初年度の収支などを踏まえて期待していた観客数は8000~9000人。この人数でも、スポンサー収入なども合わせ運営費としては、決して安定経営という収益にはならないだろう。コロナの影響もあり、実際はその半数以下。これだと、将来的にチームの安定的な運営の確保は難しい」と厳しい現実を認めている。

 もちろん協会内でも、新リーグ構想が持ち上がった段階で、一気にプロ化することは難しいという声があった。そのためにフェーズ制という3、4年を1単位としたリーグ規約や大会フォーマットの練り直しを行い、段階的にリーグを進化させていく方針を打ち出している。現在のフェーズ1は2024年シーズンまでだ。このフェーズを終える段階で、リーグの運営状況などを見直し、新たな規約の導入で段階的にプロ化へ進んでいく――これがラグビー界のプロ化へのロードマップになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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