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日本ノルディック複合復活の背景 3強の壁破った結束力、24時間勤務&ほぼ相部屋の日々

相反する2つの競技「我慢強くならないと無理」

 鍼灸師・アスレティックトレーナーとして2014年夏から日本代表チームに入っている菊池さんは、11月末から3月末まで欧州を転戦するワールドカップ(W杯)遠征はもちろん、年数回の合宿にもすべて帯同している。

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 複合チームに入る前からさまざまな競技のアスリートを見てきた菊池トレーナーに他競技の選手との違いを聞くと「スキージャンプが特殊過ぎる」と言い、それまで他競技の選手からは聞いたことのない反応を受け取ったと明かす。

「他の競技の選手と絶対的に違うのは、(競技後に)『頭が疲れた』と言うこと。それまで『頭が疲れた』と表現する選手を見たことがなかった」

 競技で使ったはずの体ではなく頭が疲れる理由として、菊池さんは「スキーは足裏の感覚が難しく、摩擦のない助走路でどうやって力を伝えるか。助走では速度に遠心力がかかり、空中に出たら風の抵抗があり、さらに恐怖心も加わる。一瞬の間にいろんなことに集中しなければいけないので脳神経の負担が大きい」と、数秒で終わる競技の中で、風というコントロール不可能な外的要因まで含めて目まぐるしく変わっていく状況に、体と頭を瞬時に適応させていくことの難しさを指摘する。

 さらに、競技に取り組む選手の内面にもノルディック複合選手ならではの特徴があるという。菊池トレーナーはチームを「大人の集団」と表現し、その根底には選手一人ひとりの持つ「我慢強さ」があるという。

「複合は我慢強さがないとできない。相反する2つの競技をやるので、コントロールがすごく難しい。筋肉の量を増やしてクロスカントリーのパフォーマンスを上げようとしたら、その分(体が重くなって)ジャンプが飛べなくなる。筋肉量を増やさず、いかに強い走りをできるようにするか。骨格の動きもクロカンをすればするほどジャンプに不都合になる。お互いにとって邪魔になる2つの競技をやらなきゃいけないので、ある程度我慢強くならないと無理なんですよね」

 確かに世界トップレベルの選手でも、ジャンプのレベルをさらに上げようとして大きく調子を崩してしまうというのは珍しいことではなく、それだけ両立が難しいことを物語っている。

 そして、その我慢強さは長い遠征の集団生活にもつながっている。各国を転戦しながら戦うW杯は週末の3日間に行われ、ヨーロッパの選手たちは木曜日に現地入りして月曜日に帰宅というサイクルで長いシーズンを過ごしているが、日本チームだけは家に帰ることができない。

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