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小林陵侑と葛西紀明の師弟愛 高3でスカウト、どん底で初めて授けた「葛西メソッド」

打ちひしがれる小林陵に放った愛のムチ

 自身の教えを「葛西メソッド」と呼ぶ葛西は、それを誰にでも伝授しているわけではない。49歳で現役ジャンパーの“負けず嫌い”は有名で、遠征中にチームでバレーボールをすれば年下相手に容赦なく本気モードで戦う。そんなレジェンドが勝てるメソッドを与えたのは、小林陵が「どん底を味わった」から。

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 小林陵は社会人1年目の19歳だった2016年1月にW杯デビュー。7位の好成績を収めると、その後の数試合も結果を出し上々のデビューシーズンとなった。ところが、開幕戦から遠征メンバーに抜擢された翌2016-17シーズンは苦戦を強いられ、初めてのW杯フル参戦も最高順位33位という成績に終わった。

「やっぱり見ていてかわいそうなんですよ。陵侑も必死で強くなりたいって思っている」

 もがき苦しむ姿に心を痛めたが、簡単には手を差し伸べなかった。「打ちのめされないとダメ。どん底を見て、俺に助けを求めてきたなら教える。どん底を味わってようやく葛西メソッドが聞ける」という葛西なりの考えがあり、新シーズンに向けた練習が始まった時に満を持してメソッドを伝授した。

 長く苦しいシーズンを過ごす教え子を黙って見守るだけでなく、しっかり愛のムチも放っていた。

 W杯では上位30人に順位に応じたW杯得点が与えられ(1位:100点、2位:80点…30位:1点)、その合計得点でシーズン総合順位を争うが、2016-17シーズンの小林陵はW杯で1点も獲得できず。葛西はそんな小林陵に、茶化し半分で「はいー。ノーポイント!」と声をかけていたという。当時のことを「陰険な感じでイジメたわけじゃないですよ」と笑うと、「悔しさをバネにして欲しかった」と真意を明かした。

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