日本陸上界初の画期的試み 奈良に生まれた「クラブ型実業団チーム」の実態とその未来
始まったばかりの夢「いつか奈良のクラブから五輪選手を」
所属するのは女子マラソン選手がメインだが、広報兼任の男子選手に、市民ランナーをサテライト選手として加えて出場した今年の関西実業団対抗駅伝(龍神駅伝)では、クラブチームとして最上位の7位になるなど、活動の幅を広げている。また地元の子供たちへの陸上教室を頻繁に開催。地域密着型クラブとして、着実に歩みを進めている。
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「まずは奈良の子供たちに憧れられる存在になりたい。いつか奈良のクラブから五輪選手を出したい」(大歳代表)
「(女子選手の)新しいキャリアのモデルになりたいです。おばあちゃんになっても走っていたい」(大井)
実業団の休部・廃部が相次ぐ陸上界は、今、岐路に立たされている。その中で「NARA-X」が取り組む「クラブ型実業団チーム」としての活動は非常に示唆に富んでいるように見える。今後、彼らに似たような形態のクラブは、全国に確実に増えていくだろう。
「地域密着」と「生涯スポーツとしての環境づくり」。まだまだ競技レベルでの実績は乏しいが、2つの軸を武器に、陸上界のアウトサイダーといえる彼らの夢は始まったばかりだ。
(梅本 タツヤ / Tatsuya Umemoto)