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兄と慕った松田直樹との別れ 天野貴史の10年目「名前を呼ばれる声が耳から消えない」

2009年のファンフェスティバルで触れ合う松田さん(中央)と天野さん(中央左)【写真:本人提供】
2009年のファンフェスティバルで触れ合う松田さん(中央)と天野さん(中央左)【写真:本人提供】

「やっぱりプレーで褒めてもらいたかった」 松田直樹は常に追いかけていたい存在

 マツさんの魅力って、やっぱり人間味溢れるところですよね。なんて表現するんだろう? 子どもがそのまま大人になったみたいな? 怖いし、喜怒哀楽が激しいけど、一緒にいるとめっちゃ楽しい。良かったらたくさん褒めてくれるけど、悪かったらめちゃくちゃ怒られる。35歳になった今でも、いろんな人からかわいがってもらえるのは、マツさんや竜二さんから怒られたりしたからで、それが今に繋がっているのかなと思うんです。

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 でも、実は同じピッチでプレーした経験がそんなに多くないんですよ。僕自身が一番試合に出ていた2010年のシーズンは、ちょうどマツさんは試合に出られなくなったシーズンで。だから、それだけは心残りです。やっぱりプレーで褒めてもらいたかったな。勝利した時に一緒にワーッて、くしゃくしゃにされながら喜び合いたかったですね。

 僕にとっての“松田直樹”はお兄ちゃんみたいな存在です。憧れの人であり、大好きな人であり、いつかはああいう人になりたいなって。なれないですけど(笑)、それでもいつかは、いつの日かは……って常に追いかけていたい存在です。自分のなかでかっこいい存在が“松田直樹”なんですよ。サッカーでも、ファッションでもね。

 今でもマツさんが紹介してくれたショップで洋服を買っているし、連れて行ってもらったご飯屋さんで食事を楽しんでいます。だから、常にマツさんが側にいる感じがする。たまにYouTubeでマツさんの映像を見ても、「懐かしいな」じゃなくて「会いたいな」と思うし。まあ、会っても「変わんねーなー」って、ドつかれるんだろうけど(笑)

 マツさんという素晴らしい人を忘れてほしくない。次世代の人たちにも“松田直樹”という人を知ってもらいたい。そして、AEDの大切さも伝えたい。そんな思いで「松田直樹メモリアル NEXT GENERATION」の活動に参加させてもらっています。コロナ禍ということもあり、なかなかやりたいことが十分にはできないですけど、僕はマツさんと繋がっていた人たちをさらに繋げていく。それが僕の役割です。

 気がつけば、マツさんの年齢を超えちゃったけど、まだまだマツさんには届かないですね。僕が追いつけるのはたぶん来世かな。いや、来世でも無理だな(笑)。やっぱりマツさん、すごいですよ。10年前のマツさんより、今の僕のほうが年上だなんて。あんなに堂々としていてかっこいい人なんて、他にいないですから。

 マツさん、今の僕はちゃんと大人になってますかね? マツさんがいたら、もしかしたらセカンドキャリアはサッカーの道に進んでいたかもしれないって、たまに想像するんですよ。だって、マツさんが監督をしていて、俺が「引退します」って報告しに行ったら、「俺と一緒に来いよ」って強引に誘われて、そうしたら付いて行くじゃないですか。

 あっ。でも、俺が「引退します」って相談しに行った時、竜二さんも、俊さん(中村俊輔)も引退していない。もしかしたら、マツさんも引退していない可能性ありますよね。だって、サッカーが大好きだから。そうしたら「俺がまだやめてないのにお前が先にやめんのかよ」って怒られて、「俺のチームに来いよ」「一緒にやろうぜ」って言ってくれそうだなあ。

 えっ? マツさん、そう言って誘ってくれますよね?

 元横浜F・マリノス

 天野貴史

(THE ANSWER編集部)

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