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「女子、高3、集団競技」にうつの割合高く 高校生アスリートの健康にコロナの影響は?

うつ病の割合が高かったのは「女子、最終学年、集団競技、貧困率の高い地域」

 女子と男子では、女子のほうが、より不安症状があり、不安レベルも高い。高校の最終学年である12年生(高3)の生徒は、9~11年生と比べて中等度から重度の不安のある割合が高かった。中度以上のうつ症状でも、他の学年と比べると12年生の割合が高かった。個人競技と集団競技の比較では、集団競技のほうがうつ症状を訴えている割合が高かった。

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 また、生徒の住んでいる地域の貧困率から3つのグループにわけて調べたところ、貧困率の高い地域に住む生徒のほうが中等度以上の不安症状のある割合、中度以上のうつ病の症状のある割合が高かった。

 これまでよりも不安を感じ、うつ病の症状のある割合は高くなっており、女子、最終学年、集団競技、貧困率の高い地域のほうが、これらの割合が高くなっていたといえる。

 前述したウィスコンシン大の研究論文は、まだ審査されていないので、臨床実践のガイドにすべきではない。しかし、スピードをもってまとめられた調査は、昨秋、運動部活動を再開するか否かの議論のひとつの材料にされた面もある。

 運動部の生徒の心身の健康という観点から何らかの活動を行うのであれば、試合はあきらめても、練習だけならできるのか。距離を保って練習することは可能か。屋外の練習ならよいか、屋内の種目の練習はどうしたらよいのか。もしも、州知事や郡から外出制限、活動制限の命令が出たときには、ズームなどのオンラインを通じて、バーチャルな運動部活動をすることで、メンタル面の助けになるのではないか、という提案もなされた。

 昨年9月には大学生アスリートを対象にした調査も発表された。チームメート間のサポート、チームメートとの一体感があると回答した学生アスリートは、自分がアスリートであるというアイデンティティを失うことが少なく、ほとんどのモデルでよりよいメンタルヘルスと幸福度を報告していたという。

 米国のクリーブランドクリニック病院などの専門家からも、新型コロナウイルスで影響を受けている高校や大学のアスリートをどのように手を差し伸べればよいのか、セラピストやカウンセラーに連絡をしてもよいのか、スポーツ心理士のほうが心を開いて話をできることもあるだろうなどとまとめている。

 これらの調査はより精査される必要があるだろうが、今、情報を必要としている若いアスリートや指導者の役に立ったように見えた。多くの人が体感でつながる重要性を感じているが、こういった調査結果も運動部のコーチがどのようにしたら運動部員のメンタルヘルスを維持できるかを考え、行動するときのひとつの材料になったのではないか。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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