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「日本に恥をかかせるわけにいかない」 ジーコが“世界”に示し続けた愛情とプライド

ドイツ代表監督に「つまみ出せ!」と激怒…ジーコが愛された理由とは

 長くジーコと一緒に過ごしてきた鈴木圀弘通訳が、「日本に恥をかかせるわけにはいかない」が口癖になっていたと教えてくれた。

 2004年12月に横浜国際総合競技場で行われた親善試合のドイツ戦(0-3)後の会見中には、勝ったユルゲン・クリンスマン監督が「バスの都合があるので、先にやらせてくれないか」と顔を出した。しかしジーコは血相を変えて、「つまみ出せ!」と怒鳴りつけていたという。当初から会見の順番は、日本が先と決まっていた。

 ウクライナやハンガリー遠征の際にも、不可解なジャッジには日本のために激昂し、食ってかかった。それはJリーグ元年の1993年チャンピオンシップで、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)へのPKの判定に抗議を込めて、ボールに唾をかけた気概と通じるものがある。

 すべてが誉められることではないかもしれない。しかしこうしてジーコは、とことんチームを愛し、全力を傾注し、どんなことをしてでも勝利に導こうとしてきた。

 それは常勝鹿島の原点でもあり、ジーコが愛される理由でもある。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe



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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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