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子供の“軽いプレー”と向上心の相関性 才能の芽を潰さない「見極める力」とは

「日本サッカーの父」と呼ばれるデットマール・クラマーさんから、子供の向上心をプレーから判断するという話を聞いたことがある。

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――子供の向上心を潰さない指導

「日本サッカーの父」と呼ばれるデットマール・クラマーさんから、子供の向上心をプレーから判断するという話を聞いたことがある。

 ある日のこと、散歩をしている時に、家の近所でお父さんとボールを蹴り合っている子を見かけたクラマーさんは、その子供に「ボールを蹴ってみて」と声をかけたという。子供は少し戸惑いながらもクラマーさん目がけてボールを蹴ると、クラマーさんはそのボールを正確にコントロールし、寸分違わぬところにボールを蹴り返したそうだ。

 そして父親の方をくるっと振り向くと、「見ましたか。彼には才能があります」と言ったという。突然そんなことを言われた父親が、慌てて「なぜ分かるのです?」と聞くと、「彼がどうやって蹴ってきたかを見ましたか? 彼はただ蹴るのではなく、あえてアウトサイドで私にボールを蹴ってきました。それは難しいことに挑戦しようとしている気持ちの表れです。才能がある」と話し、また一人散歩へと戻っていった。

 ドイツでもかつて、チャレンジそのものを否定する風潮があった。アウトサイドパスなどは「軽いプレー」としてすぐに指摘されていた。攻守に体を張ったプレーをする、1試合の間走り続ける、積極的に1対1を仕掛けていく――サッカーにおいて、そうした姿勢が大切なのはもちろんだ。しかし、それだけでは上手くいかないという事実もある。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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