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ロンドン五輪準決勝で負けた夜 ミスした扇原貴宏の部屋を大津祐樹がノックした

2人が感じたロンドン五輪代表と昨季の横浜FMの共通点とは【写真:窪田亮】
2人が感じたロンドン五輪代表と昨季の横浜FMの共通点とは【写真:窪田亮】

横浜FMを15年ぶりリーグに導いた2人、東京五輪を目指す後輩に送るエール

 2019シーズン、大津と扇原は横浜F・マリノスの15年ぶりのリーグ優勝に中心選手として大きく貢献。ロンドン五輪を戦った日本代表と昨季の横浜F・マリノスを大津は「似ている雰囲気があった」と共通点を見出す。

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「チームとして一つになることの大切さを学ばせてもらいました。優勝するチームは、こうやって優勝するんだな、と。自分としては、ロンドン五輪の経験があって、オーバーエイジの年長選手たちの立ち居振る舞いを見てきました。それを自分に当てはめるというか、チームのための行動を常に心がけていました」

 先発出場はわずか3試合にとどまった大津だが、練習中から率先して声を発してチームの士気を高めた。その姿を間近で見ていた扇原は8年前の出来事と重ね合わせる。

「特に下の年齢の選手たちは大津くんの行動を見ていたと思います。自分も同じ考えを持っていたけれど、そういった行動は結果的に自分のためになります。チームのためを思う行動は、最後は自分に返ってくるもの。だから自己犠牲という表現ではなく、自分にとってプラスαになるんです。大津くんは8年前も今も気を遣える人で、周りが見える人。変わっていません」

仲良く肩を組み笑顔を見せた2人、東京五輪を目指す後輩にエールを送った【写真:窪田亮】
仲良く肩を組み笑顔を見せた2人、東京五輪を目指す後輩にエールを送った【写真:窪田亮】

 そして、2人は自国開催の東京五輪を戦う後輩にエールを送った。開催延期が決まっても思いは変わらない。自分たちが成し得なかったメダル獲得の夢を託し、さらに次の世代へバトンが渡っていく。

「今の五輪代表にはA代表の選手や海外でプレーしている選手がたくさんいます。僕がもともと海外移籍できたのは、(香川)真司くんがドイツで活躍してくれたから。そうやって道が切り拓いてくれたんです。東京五輪でも日本が結果を出すことで日本サッカー界全体が評価されることにつながります。そういった期待と責任を背負っている立場として頑張ってもらいたいです」(大津)

「去年のマリノスも、開幕前は誰も優勝すると思っていなかったはず。信じていたのは自分たちだけだったかもしれません。東京五輪は自国開催ということで期待が大きい分、プレッシャーも大きいと思います。だからこそ、いかに楽しめるかが重要になる。結果を求められるけれど、それを応えられるだけの選手、メンバーはいるはず。あとはチームとしてどれだけまとまれるかがポイントです」(扇原)

 輝きを放った8年前の経験は、今もなお第一線で活躍する選手にとって大きな財産であり、その後の指針となっている。

【「横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史」発売】

 大津と扇原が所属する横浜F・マリノスに迫った新刊が3月31日に発売された。クラブ取材歴15年の番記者が、選手・監督・スタッフを徹底取材。堅守のマリノスから アタッキングフットボールへ、J2降格の危機にまで陥ったリーグ屈指の名門は、いかにして変革を遂げ、15年ぶりの優勝を果たしたのか。知られざる変革の「歴史」と「裏側」を深く掘り下げた。

「横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史」(著=藤井雅彦、発行=ワニブックス)

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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