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弱小校と新設校で…超難題「3年で甲子園出場」2度達成 センバツ話題校・エナジック監督の信条は「時にはホラ吹きも…」

3年で甲子園に出場する――。弱小校や新設校において、新監督が着任早々にそんな目標を掲げたとして、どれだけの選手が真に受けるだろうか。絵空事のように感じる人も少なくないだろう。しかし、この「超」が付くほどの難題を2度に渡ってクリアしてしまった指揮官がいる。1月24日に開かれた第97回選抜高校野球の選考委員会で、九州地区から選出された私立エナジックスポーツ(沖縄)の神谷嘉宗監督だ。(取材・文=長嶺 真輝)

エナジックスポーツ初の甲子園出場を確定させ、選手に声を掛ける神谷嘉宗監督【写真:長嶺真輝】
エナジックスポーツ初の甲子園出場を確定させ、選手に声を掛ける神谷嘉宗監督【写真:長嶺真輝】

エナジックスポーツの神谷嘉宗監督の歩みと手腕に迫る

 3年で甲子園に出場する――。弱小校や新設校において、新監督が着任早々にそんな目標を掲げたとして、どれだけの選手が真に受けるだろうか。絵空事のように感じる人も少なくないだろう。しかし、この「超」が付くほどの難題を2度に渡ってクリアしてしまった指揮官がいる。1月24日に開かれた第97回選抜高校野球の選考委員会で、九州地区から選出された私立エナジックスポーツ(沖縄)の神谷嘉宗監督だ。(取材・文=長嶺 真輝)

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 24日夕、エナジックの室内練習場。センバツ出場の吉報を受け、選手たちと向かい合った神谷氏の頬を涙がつたった。挨拶の声が詰まる。「創部3年でここまで来られたのも、1期生が素地を築いてくれたからです。感謝の気持ちを忘れず、頑張って行きましょう」。2期生となる2年生を中心とした選手たちの表情が、弾ける笑顔から一転、ぐっと引き締まった。

 エナジックは2022年4月に創部した。「個々の能力が高い強豪に勝つにはこれしかない」(神谷氏)と、当初から取り組んだのは選手同士のアイコンタクトや機動力を駆使したノーサイン野球。ゼロからのスタートとなった1期生15人は実戦練習を繰り返して意思疎通の度合いを少しずつ深めていき、相手の隙を突いて一気に畳み掛けるような攻撃力を身に付けた。

 結果、2024年の県春季大会で甲子園優勝経験のある沖縄尚学と興南を倒し、県大会で初の頂点に。1期生にとって最後の舞台となった夏の沖縄大会は、決勝で延長10回にもつれこむ接戦の末、興南に3-4で敗れたが、沖縄が3強時代に突入したことを印象付けた。新チームとなって迎えた秋、初出場の秋季九州大会で準優勝を果たし、春夏を通じて初の甲子園出場を決めた。

 飛ぶ鳥を落とす勢いで聖地へと駆け上がったが、当初から順風満帆だった訳ではない。

 エナジックは創部から1年前の2021年4月、「世界に翔(はばた)く、トップアスリートの育成」を掲げ、開校した。活用したのは、学校の統廃合により10年ほど放置されていた名護市瀬嵩の旧久志小学校跡地。グラウンドは荒れ果て、もちろん練習道具もない。神谷氏は「ボロボロで何もない場所だった」と振り返る。本島北部の東海岸沿いに位置する学校は、県内で最も人口が多い那覇市から車で2時間近くかかる。野球どころの沖縄では県外の強豪校からスカウトを受け、進学と同時に海を渡る有望な中学生も多く、リクルートが容易ではないことは明らかだった。

 にも関わらず、神谷氏はまだ部自体が立ち上がっていなかった2021年8月の監督就任会見で「3年以内に甲子園に出場したい」と明言している。見事、期間内でのラストチャンスだった今回のセンバツで目標を成就させ、全国の高校野球ファンを驚かせた。

 出場決定直後の囲み取材で聞いてみた。「達成できる確信があったんですか?」。少し苦笑いを浮かべて「確信はないですよね…」と答えた。ただ、根拠が全くなかったかというと、そうでもない。実は、神谷氏には過去に成功体験があったのだ。

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