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現役時代の実績で「監督が務まる時代ではない」 欧州事情を知る日本人「サッカーの形が変わった」

ゴール前の質向上に「個々の表現の自由度を高める文化を」

 最後にUEFAの最高級指導者ライセンスを取得した独自の視点から、今後の日本サッカーを展望してもらった。

「欧州と隔離された日本では、強烈な個を活かすより連動性の高いサッカーが根づいています。社会的にも集団主義の傾向が強いので、連係連動で崩すほうがみんなでやっている感覚があり、逆に1人で強引に3人をかわしてシュートを決めてくるようなプレーは異質に映りがちです。しかし、これから世界に出て半歩でも1センチでも先に出ようとしたら、両ゴール前がコンビネーションだけでは難しい。少しずつでも個々の表現の自由度を高めていく文化も醸造していく必要があると思います」

 逆に日本サッカー界も旧来の学閥主義的な村社会から脱却し、こうして個で突破口を開き最高級のライセンスまで到達した人材が、自在に新風を吹き込みやすい環境作りを構築していくべきかもしれない。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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高野 剛

サッカー指導者 
たかの・つよし/1973年10月4日生まれ。福岡県出身。アメリカで8年間指導者を務め、2005年からサンフレッチェ広島でジュニアユース、ジュニア、トップのコーチを歴任した。2010年にイングランド3部のハダースフィールド・タウンFCの育成組織に入団。日本人2人目となるイングランドサッカー協会(FA)公認・欧州サッカー連盟(UEFA)公認A級指導者ライセンスを取得した。2012年にサウサンプトン、2013年にアビスパ福岡のコーチ、2015年にタイのBBCU FCで自身初の監督を務め、タイ・プレミアリーグ昇格へ導く。2016年から3年間ギラヴァンツ北九州のU-18監督やアカデミーダイレクターを務め、2018年にアジア人初となるFA及びUEFA公認プロライセンスを取得。また、Jリーグフットボール本部育成部に所属し、育成改革プロジェクト「Project DNA」の立ち上げに関わる。2021年、STVV(シント=トロイデンVV)のHead of Football Strategy & Development 及びManaging Director of Youthに就任しチームの根幹を支えている。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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