プロトレーナーの高島誠氏が力説「野球の練習も、個人で差をつけることが大切」

　日本の野球などのチームスポーツでは、全員が同じ動き、同じペースでウオーミングアップや練習を行うチームが一般的だ。一糸乱れぬ足並み、声を揃える姿に、満足感を覚える指導者も多いのではないだろうか。ただ、選手の体格や体力にも個人差があるゆえ、その動きが全員にとってベストとは限らない。THE ANSWERでは野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。プロ野球・オリックスやMLBのナショナルズでトレーナー経験を持つ高島誠さんは、「全体練習は一番下手な子に合わせないと揃わないので、物足りない子も出てきます」と注意を促す。

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　例えば全体ランニング。遅い選手に合わせないと隊列が揃わないため、速い選手は無理矢理ペースを落とさなければならない。自分のパフォーマンスを最大限に出し切っていないので、成長は見込めないだろう。

「ボール回しもそうですよね。塁間をちゃんと投げることがしんどい子にとっては大変なメニューですが、上手い子にとっては物足りません。だから、全員に適正な負荷がかかっていないんですよ」

　もちろん、野球はチームプレーであるがゆえ、全員が揃って行う練習も大切だろう。ただ、ウオーミングアップでも、本来は個人差をつけた方が、パフォーマンスアップや怪我の予防にもつながる。例えば、高島さんがコーチを務める中学硬式野球の東広島ポニーで導入しているのが「パルクール」だ。

　パルクールとは、「走る」「跳ぶ」「登る」といった移動動作で心身を鍛える運動方法。パイプバーを乗り降りし、遊び感覚の中で自分の重心位置をコントロールしながら、筋力と瞬発力を養っていく。ウオーミングアップをしながら、野球に必要な身体操作性の土台を構築できるので、まさに一石二鳥だ。