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日本の「パワハラ」って知ってますか エディーHCに問う、日本スポーツ界の“病”

日本で問題視される「パワハラ」についてエディー氏が言及【写真:松橋晶子】
日本で問題視される「パワハラ」についてエディー氏が言及【写真:松橋晶子】

「変化」が求められる指導者「選手がスキルを身に付けるように指導者も学べ」

「指導者が上からの目線になってしまうのは世界的にどこでもあり得る。しかし、日本は教育システム(部活指導)において見られることが多い。選手に対して暴力を振るうことがOKにしてしまっているシステムがある。最初は小さなことだから流しましょうとなってしまう。ただ一度OKにすると、その行為が普通になってしまう。それが重なり、やがて問題になっていくんだ」

 日本に限らず、選手とコーチの関係性は時代とともに変わっている。「それ(暴力的指導)が普通だった時代はあった。しかし、今はもう普通じゃない。コーチには難しくなったと感じるだろうが、変わらないといけない」と言い、こう提言する。

「見た人、聞いた人が責任を持って、そういう行為をなくそうとアクションを起こすこと。例えば、友人のチームを見に行き、ハーフタイムに悪質な言葉がけをしていたとする。それは見た人間が責任を持ち、コーチに話に行くべきだ。『その話し方は子供たちにとって正しくない』と追及しないと変わらない。間違った行為をただそうと周囲も反応しなければいけない」

 だから、エディーHCは体罰についても真っ向から否定する。「時には厳しくなる必要はある。しかし、厳しさと暴力は異なるものだ」と言い、暴力がスポーツ指導でプラスになることは「ない」と断言。暴力的指導を取り上げられた指導者について、権力に胡坐をかくのではなく、変化することを求める。

「チャレンジしないといけない。指導者は個々を理解する必要がある。今の指導者はガイドして発見してもらう役割。教育システムがそういう方向に行っているだろう。時間もかかるし、知識もスキルも必要。チーム一丸として、チームを大事にしながら個を見ていくこと。何より、選手がスキルを身に付けるように指導者も学び続け、改善しないといけない」

 変化。それは痛み、リスクを伴うものである。エディーHC自身も直面した課題だった。経験が浅い若い頃は選手に厳しく当たることもあったというが、時代に合わせて「ガイド型」に変えていった。それでも「変化させることに恐怖心は全くなかった」という。その裏には、指導者として揺るぎない信念がある。

「いつも信念として持っているのは、常により良い方法があるのではないかと自分に聞くようにしていることだ」

 世界一を知る名将にして、まだ指導は良くなると思っているのか。エディーHCは「100%、その通りだ。毎日、それを目指している」と断言。だから、指導にゴールはないという。「とにかく毎日改善し、より良い指導者になりたいということだけ。それが、どういう形になるかはわからないから」と続けた。
 

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エディー・ジョーンズ

THE ANSWERスペシャリスト ラグビー指導者

1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。

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