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全国大会で選手2割が出場ゼロ サッカーU-11リーグ創設者の危機感「こんなこと許されない」

2015年、幸野健一は自ら実行委員長としてプレミアリーグU-11を起ち上げた。初年度に参加を表明したのは7県だけだったが、今では31都道府県に広がり、約7000人がプレーし3000試合前後をこなす規模にまで発展している。

ジュニアでのリーグ戦文化の浸透を狙い、幸野健一は実行委員長としてプレミアリーグU-11を起ち上げた【写真:編集部】
ジュニアでのリーグ戦文化の浸透を狙い、幸野健一は実行委員長としてプレミアリーグU-11を起ち上げた【写真:編集部】

【幸野健一が挑む日本のスポーツ文化改革|第4回】ジュニア年代でリーグ戦文化のある欧州と“負ければ終わり”が多い日本

 2015年、幸野健一は自ら実行委員長としてプレミアリーグU-11を起ち上げた。初年度に参加を表明したのは7県だけだったが、今では31都道府県に広がり、約7000人がプレーし3000試合前後をこなす規模にまで発展している。

「多くの指導者が集まる席が設けられ、なかなかジュニアでリーグ戦化が進まないことに対して、みんなJFA(日本サッカー協会)に批判の声を挙げていました。そこで僕が『だったらJFAに頼ることなく、自分たちで正しいと思うことを始めればいいじゃないか』と声をかけたのが発端です」

 なぜU-11なのか、幸野が背景を解説する。

「JFAはU-12のリーグ戦化を始めたのですが、全都道府県で平等にスタートしようとしたから、それだけで手一杯になってしまったんです。要するに試合数は増えたもののグラウンドが足りなくて、他の学年まで対応できなくなってしまった。だから僕らは、まず各県のトップ10に声をかけて、そこから裾野に広げていこうと考えました」

 10代でイングランドに留学し、世界43カ国の実情を見てきた幸野にとって、彼我の大きな違いの一つにリーグ戦文化の浸透度合いがある。

「10歳くらいの子供たちのサッカー知能を比べると、欧州のほうが断然高い。なぜなら欧州の子供たちは、全員がレベルに適したリーグ戦を毎週末にこなしているからです。リーグ戦では必ずホーム&アウェーで同じ相手と二度戦う。試合を振り返り分析して、再度対戦することで、個人戦術も蓄積されていく。それに対し日本ではノックアウト方式が多いので、負ければそこで終わり。だから落ち着いた状況で試合に臨めないし、二度と対戦しない相手だから次戦への修正もない。それが8歳から毎年30試合ずつ積み重なるわけで、日本は絶対に追いつかないな、と思いました」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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