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「プリンセス・メグ」と呼ばれて 34歳、栗原恵の今 「8割引退」から現役続行の理由

もう「プリンセス」はいらない、「人間・栗原恵」が描く未来「忘れられる日は来るけど…」

「ここ数年、現役でいられる時間は限られていると強く思いながらやっているので、現役の時間が尊いものに感じている。辞めてからの人生の方が長い。私はモットーとして引退と決めた後に戻ることはしたくない。だから、今はやり抜く時間かなと。やり切って引退という決断をした時は、やるべきことはコートに置いてきたなと思えるくらいにやって、選手の最後を迎えたいです」

 酸いも甘い味わった激動のバレー人生。振り返れば、その名を世に知らしめたのは、高3で全日本に選出された際についた「プリンセス・メグ」だった。おおらかな人柄に甘え、当時、アイドルのような愛称がついたことについて聞いた。すると、大声で笑いながら、冒頭の話に続く思い出を明かしてくれた。

「当時は加奈は『プリンセス・メグ』が羨ましいと言っていました。でも、私はプレーに対してのキャッチフレーズじゃなかったので、バレー選手として『プリンセス』ってどうなんだろうと。だから『パワフル・カナ』っていいじゃんと思っていました」

 誤解されたこともあるというが、決して気取ったところがない。「(意外だと)よく言われます。本当は調子に乗った方がカッコいいじゃないですか。でも私、ただの“かっぺ”なんで。(広島の)島人なんです」。嫌味なく言って、豪快に笑い飛ばした。

 7月31日に34歳になった。限られた現役生活と、その先に待つ人生。もう「プリンセス」はいらない。「人間・栗原恵」として、どんな姿を残していきたいのか。ストレートにぶつけると、率直な思いを返してくれた。

「よく指導者はどうですかと言われるけど、あまりピンとくる自分がいないんです。コートを去ったら綺麗に辞める気がするし、全く違うことをしている気もします。ただ、未練を残さない辞め方をすれば、あとの人生にもすっと入っていけると思っています。セカンドキャリアについても10年くらい、ずっと考えながら来たけど、結局、答えは出なかった。それは、やっぱり自分の一番やりたいことが現役生活だったから。だから、今はまずは現役生活をやり切りたいんです。

 他のことは分からないけど、バレーボールだけは真面目にやってきたと言い切れます。本当に真摯に向き合って、一筋でやってきた自信がある。それでも怪我をしてなかなか試合に出られない時、バレーボールには愛されていないのかなと落ち込むこともたくさんあった。でも、私は凄くバレーボールが好き。限られた現役生活で、真摯に向き合っている姿は見せ続けていきたい。現役を退けば忘れられる日は必ず来るけど、一人でも多くの人の記憶に残る選手でいられれば幸せです」

 今なお、消えない情熱は、力強く燃える。それは激しく、そして美しく、コートに打ち込んできたスパイクのように。

 ◇インターハイの女子バレーボールは2日から4日間にわたって熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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