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土壇場PK戦で左隅にズドン! 3882人がどよめいた、明秀日立・エース石橋鞘の“兄超え”の一撃【高校サッカー選手権】

第102回全国高校サッカー選手権は12月31日、神奈川・等々力陸上競技場で2回戦が行われ、第1試合は明秀日立(茨城)が東海大仰星(大阪)とのPK戦に6-5で勝利を収めた。エースFW石橋鞘(そう・3年)はPK3番手で強心臓ぶりを発揮。同校OBの兄を超える3回戦進出を決めた。1月2日の次戦は近江(滋賀)と対戦。4年ぶりの出場で過去最高だった2017年大会の8強を超え、史上6校目の夏冬連覇を目指す。

明秀日立のエースFW石橋鞘(左)【写真:山野邊佳穂】
明秀日立のエースFW石橋鞘(左)【写真:山野邊佳穂】

明秀日立―東海大仰星は1-1でPK戦に突入

 第102回全国高校サッカー選手権は12月31日、神奈川・等々力陸上競技場で2回戦が行われ、第1試合は明秀日立(茨城)が東海大仰星(大阪)とのPK戦に6-5で勝利を収めた。エースFW石橋鞘(そう・3年)はPK3番手で強心臓ぶりを発揮。同校OBの兄を超える3回戦進出を決めた。1月2日の次戦は近江(滋賀)と対戦。4年ぶりの出場で過去最高だった2017年大会の8強を超え、史上6校目の夏冬連覇を目指す。

 負ければ終わり、その土壇場でも心は揺らがなかった。3882人が客席を埋め、応援団が祈りながら見守るPK戦。両校2人とも決め、明秀日立の3番手は石橋だ。自分を信じ、右脚に魂を込めた。「笑顔でやれていて。(緊張は)思ったよりしなかった。楽しみながら蹴れた」。ゴール左隅ギリギリに突き刺すと、仲間の方を振り返りながら渾身のガッツポーズ。観客がどよめくほどの思い切りの良い一撃だった。

 ずっと追いかける存在がいた。3歳上の兄・衡(こう)さんの影響で4歳から始まったサッカー人生。「いつも負けて泣いていた」。テレビゲームでも兄には敵わなかった。「(兄は)どこに行っても評価される選手。サッカーIQが高く、落ち着いている」。全国の舞台で輝く最も身近なライバルにくらいつき、「兄がいなかったら行っていない」と明秀日立への進学を選んだ。

 2人の性格は真逆。応援に駆けつけた衡さんは「ガツガツなのでFW的」と弟について明かす。チームは前線から激しくプレスにいくスタイル。石橋は「最初はしんどかった」と順応に苦しんだが、兄にくらいついたように強豪校で踏ん張った。「点を取れる位置に置いてもらって楽しい」。史上6校目の夏冬連覇を目指すチームのエースに成長。この日も股関節や膝の怪我を抱えながらも駆け回った。

 兄は2年時の19年大会で2回戦敗退。幼い頃は敵わなかった兄を高校最後の大舞台で上回った。自己採点が「70点」と厳しいのは、自身が無得点だから。全国高校総体4強の日大藤沢(神奈川)を2回戦で破った近江との次戦。「自分のプレーを貫き通して、またこの場を楽しんでやっていきたい」。どこからでもシュートを打ち、チームに推進力をもたらす背番号11。歴史を塗り替える明秀日立の中心に立つ。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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