少数精鋭でも“出番の少ない選手”は生まれる 異色の高校が大所帯の部活を目指す理由
昨年11月、発足からわずか3年で全国高校サッカー選手権出場にあと1勝と迫り、話題を呼んだのが兵庫県の相生学院高校サッカー部だ。淡路島を拠点に活動しており、通信制高校としての利点を活かしながら育成年代の新たな可能性を模索し続けている。そんな注目の新興校が今、これまでのやり方を大きく変え、大人数の部員を抱えながら独自のリーグ「淡路プレミアリーグ」を運営し、序列をつけない複数のチームが戦って強化していくという新たな挑戦に打って出た。彼らはなぜこのタイミングで方針転換を決断したのか。上船利徳総監督に話を聞き、新たな取り組みに力を入れる姿を追った。(取材・文=加部 究)
連載「相生学院高校が挑む部活革命」第1回、少数精鋭主義を掲げるも感じた限界
昨年11月、発足からわずか3年で全国高校サッカー選手権出場にあと1勝と迫り、話題を呼んだのが兵庫県の相生学院高校サッカー部だ。淡路島を拠点に活動しており、通信制高校としての利点を活かしながら育成年代の新たな可能性を模索し続けている。そんな注目の新興校が今、これまでのやり方を大きく変え、大人数の部員を抱えながら独自のリーグ「淡路プレミアリーグ」を運営し、序列をつけない複数のチームが戦って強化していくという新たな挑戦に打って出た。彼らはなぜこのタイミングで方針転換を決断したのか。上船利徳総監督に話を聞き、新たな取り組みに力を入れる姿を追った。(取材・文=加部 究)
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プロ選手の育成を標榜して4年前にプロジェクトを開始した兵庫県相生学院高校サッカー部が、これまでの「少数精鋭主義」に見切りをつけ、大所帯での活動に転換することを決めた。
相生学院は無名の選手たちを集めた1期生が最上級生になると、2021年度の全国高校サッカー選手権兵庫県予選で決勝まで進出し、発足時の目標通り本当にJリーガーを2人輩出した。過去にも強化開始時点でJアカデミー出身の有望選手たちを集めて、短期間で結果を出すチームはあった。だが20歳代でプロジェクトを発案し、現役を退いて間もなかった上船利徳総監督には、当然ながら最初から実績を伴う中学生を集めてくるのは不可能だった。結局、集まった1期生の中に全国大会のプレー経験を持つ選手はゼロ。諸条件を考えれば異例の快挙として一躍注目を集め、1期生と入れ替わりの新入生には多くの有望株が含まれ40数名での活動が続いていた。
しかし、いくら少数に絞り込んだ活動を続けても、トップチームの主力組とBチームで出番の限られた選手たちのモチベーションには落差が生じる。上船総監督は、熟考を重ねた末に来年度からは大量の選手を迎え入れる決断に辿り着いた。