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高校スポーツ中止にほっとするのはいけないこと? 米紙に載った2つの気になる見出し

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「大会が中止になった高校生」について。

多くの高校スポーツが打ち切りになる中、ある米紙に気になる見出しが並んだ
多くの高校スポーツが打ち切りになる中、ある米紙に気になる見出しが並んだ

連載「Sports From USA」―高校スポーツ中止、米紙に載った2つの気になる見出し

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「大会が中止になった高校生」について。

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 新型コロナウイルスの影響を受けて、ほとんど全てのスポーツが中止や中断になっている。

 インターハイや高校野球の全国大会も中止。無念、悔しさでいっぱいだろう。最終学年の選手ならば、なおさらやり切れない思いがあるはずだ。

 米国の高校スポーツも、日本とほぼ同じ状況だ。多くの州で、冬季種目は州の決勝大会などが打ち切りとなり、野球や陸上競技などの春季種目は中止になった。救済措置として何らかの大会を開くという手段もあるが、日本の高3に相当する12年生は、早いところではすでに卒業式を終えている。

 米国の高校生以下の子どものスポーツもほぼ全てが一時停止している。

 1か月前、ロチェスターシティー・ニュースペーパー電子版に、こんな見出しの記事が出た。「新型コロナウイルスでユーススポーツが追いやられた。私は心密かに喜んでいる」。「スポーツができなくなってしまった」と「心密かに喜んでいる」という2つの文章はつながらないはず……。ひっかかりながら読みすすめた。

 この男性記者は、13歳と11歳の息子がいる。2人の息子は野球とアイスホッケーをやっているが、新型コロナウイルスの影響で冬季種目のアイスホッケーは早めに終了してしまい、春季種目の野球シーズンは始まっていない。息子たちは、スポーツができない不満を父親であるこの記者に訴えた。彼らは防球ネットに向かってボールを投げたり、ローラーブレードを履いてスティックの操作をして遊んでいる。不満を漏らしていた息子たちだけれど、彼らの表情は、これまでになく楽しそうだ、と父親は感じた。自由な遊びとしてスポーツをする姿をしばらく見ていなかったからだろうと綴り、ユーススポーツの再開の日がきても「元いた場所にそのまま戻るべきか」と自問している。

 コメント欄には、この記事には同意できない、と意見が書き込まれていた。記者は同意してもらえないことはわかっていただろう。みんなが悔しい思いを抱えている。自分の息子たちもそう口にした。だから、見出しに「心密かに」という言葉を挿し込んで、率直な思いをレポートしたのだろう。

 この記者と妻は、普段は、2人の子どものスポーツ活動の送迎でとても忙しくしているそうだ。スポーツ活動が中断したことで、家族揃って夕食を食べられるようになったとも述べている。私も同じように送迎に追われていたことから、この記者のほっとする感じはよく分かる。(スポーツ活動が中断して2か月が経ち、子どもの試合を観戦したい気持ちにもなっているが)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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