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スポーツ界の女性理事登用「たとえ数合わせでも」 日本バスケ協会会長・三屋裕子の信念

対談を行った三屋裕子さん(右)と井本直歩子さん【写真:中戸川知世】
対談を行った三屋裕子さん(右)と井本直歩子さん【写真:中戸川知世】

真の成長には「自ら探し求めて、登っていくメンタル」が必要

三屋「JBAとしては、まずはコーチライセンス制度を改革しました。バスケは教員をされている方がコーチもしているという実態が多いのが現状です。そこで、教員だけに頼らず、一般の方や高校生でもコーチとして携わっていけるように、男女問わず高校生からE級のコーチライセンスを取得できるようにしました(ライセンスはE級からS級まであり)。今後、教職員の働き方改革により、学校の部活動は制限されていきます。選手たちは地域のクラブで、どんどんバスケをやるようになるはずです。そこで、ライセンスを持っている人が活躍していけばいい。そうなれば女性の指導者も、どんどん増えていくと思います。

 それから、審判のライセンスも、12歳から取れるようにしました。中学・高校生は過去には管轄協会派遣の審判員のほかに、マネージャーや顧問の先生が帯同審判として笛を吹いていたのですが、地区予選の1回戦から公式戦は帯同の場合も含めてライセンスを取得した審判に吹いてもらおうよ、という制度に移行しています。また、2019年度から女性コーチカンファレンスを開催して、女性指導者がコーチングについて学ぶだけでなく、ロールモデルと出会ったり、他の女性指導者とつながりを持ったりするための取り組みも行っています」

井本「WEリーグの岡島喜久子チェアも言っていましたが、女性指導者を増やすことは、ゆくゆくスポーツ界で女性リーダーが増えるための一つの道ですよね」

三屋「そうです。指導者になれば、チームをどうマネジメントしていくのかが学べます。最初は小さなチームだったとしても、経験を積み、少しずつマネジメントする母集団が大きくなっていけばいい。『15人くらいの集団ならマネジメントできるが、100人だとできない』となったときに、いろんな立場の人をまとめないといけない中で、いかにして自分を成長させていくのか。そして、自分から今以上の高いレベルの場所を求めていく人間になるかどうかで、リーダーとしての力量はだいぶ変わっていくと思います。

 真の成長は、人から与えられるのを待つばかりではなく、自ら探し求めて、登っていくメンタルでないと、得られません。私たちの役目は、そういった気持ちのある人たちの場を作ることです。例えば、大学を出ていない指導者、教員免許を持っていない指導者は、ベンチに座れないよ、学校の体育館で教えられないよ、というハードルと障壁を取り除いていけるか。これが私たち世代の責任だと考えます」

井本「そうですね。指導者やリーダーになりたい人がなれる環境を作っていくべきだと、すごく思います」

三屋「それと、今日本の国にないもの、あったらいいものを作ろうと思ったとき、『この指止まれ!』と一番に指を出せるかも大事です。今までは女性がそれをあまりやってきていないのかもしれないし、出された指に、『私なんて止まっていいのかしら?』というメンタルの方が多かったんじゃないかな。今後は、やるやる! と言う女性は増えていくと思いますよ」

井本「今回は貴重なお話をありがとうございました。是非、これからも、色々とアドバイスをお願いいたします」

三屋「ここ(JBA会長室)はいつも開いているので、是非、遠慮なく!」

【前編】女子バレー選手から日本バスケ会長に 我流の人生で三屋裕子も聞いた「女のくせに」の声
【中編】競技以外は「やったことないことに凄く臆病」 三屋裕子と考える女性アスリートの課題

■三屋 裕子 / Yuko Mitsuya

 福井県出身。中学からバレーボールを始める。八王子実践高から筑波大に進学後、1981年、日立女子バレーボール部(当時)に入部。大学時代から女子日本代表の主軸として活躍し、1984年ロサンゼルス五輪では銅メダルを獲得。引退後、國學院高の教員を経て、学習院大助手、講師に。同大バレー部の指導をする傍ら、全日本ジュニアチームのコーチを務めた。1992年、筑波大大学院に進学。その後、筑波スポーツ科学研究所副所長に就任。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事(1998~2006年)、日本バレーボール協会理事(2007~2013年)を経て、2015年、日本バスケットボール協会副会長に就任。現在、日本バスケットボール協会会長、国際バスケットボール連盟理事を務める。また、2004年以降、上場企業・銀行等で社長、社外取締役を歴任する。

■井本 直歩子 / Naoko Imoto

 東京都出身。3歳から水泳を始める。近大附中2年時、1990年北京アジア大会に最年少で出場し、50m自由形で銅メダルを獲得。1994年広島アジア大会では同種目で優勝する。1996年、アトランタ五輪4×200mリレーで4位入賞。2000年シドニー五輪代表選考会で落選し、現役引退。スポーツライター、参議院議員の秘書を務めた後、国際協力機構(JICA)を経て、2007年から国連児童基金(ユニセフ)職員となる。JICAではシエラレオネ、ルワンダなどで平和構築支援に、ユニセフではスリランカ、ハイチ、フィリピン、マリ、ギリシャで教育支援に従事。2021年1月、ユニセフを休職して帰国。3月、東京2020組織委員会ジェンダー平等推進チームアドバイザーに就任。6月、社団法人「SDGs in Sports」を立ち上げ、アスリートやスポーツ関係者の勉強会を実施している。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、以上サンマーク出版)、『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド完全版』(金哲彦著、高橋書店)など。

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