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スポーツ界の女性理事登用「たとえ数合わせでも」 日本バスケ協会会長・三屋裕子の信念

組織側も人材育成の方針や説明を行い、うまく人材を育成することが必要と話す井本さん【写真:中戸川知世】
組織側も人材育成の方針や説明を行い、うまく人材を育成することが必要と話す井本さん【写真:中戸川知世】

たとえ数合わせであっても「いてもらってよかった」という存在に

三屋「そう思いますよ。私も以前は『これ、数合わせなんだろうな』と思っていましたから。というのも、社外役員のオファーを頂く際、『三屋さんは経営やっていたでしょ? やっぱり女性を入れないとダメなんだよね』とよく言われていたので。

 でも私は、たとえ数合わせで入れられたとしても、引き受けた以上は、いてもいなくてもいい存在ではなく、『いてもらってよかったな』という存在でありたい。取締役会も『見当違いかもしれないし、経験がないのでちょっとわからないのですが……』と前置きはして、必ず意見を言ってきました。『すみません……』と言いながら『ちょっと、危機感ないんじゃないですか?』とか言っちゃう(笑)」

井本「(笑)。ズバっと言っても、煙たがられませんか?」

三屋「長々と言うよりは、いいですよ。でも本当に『私は経験も知識もない。でもこう感じました』と言っていいと思うんです。知識があるのかないのかわからない、そして何を言いたいのかわからない、というのは避けた方がいい。たとえ数合わせで入れられたとしても、自ら自分の存在意義を示したいと思えばいいと思っています」

井本「本当に数合わせで入ったような人で、会議に出ても何も言わない人、実際何もしていない人は結構いますよね。人選を見直すことも、もちろん必要なのでしょうが、登用した側も選んだ人をドボンとプールに落とし、後は自分で溺れながら泳いでいけ、というのも違う気がしていて」

三屋「そこから自分の考えを身につけていく、ということです。私は常に、理事会に出たら何か一つは意見を言ってよ、と伝えています。それは、試合に出たらボールを持とうよ、というのと同じです。意見を持つことが大事であって、その人の意見であれば、良いも悪いも、正解も不正解もないんです。役員はそれなりの責任があるものですし、企業にとっては取締役ですから、一人の持つ1票は大きい。その1票が入るか入らないかで決議の内容は変わってくる。イエスかノーか、という考えだけは持っていてほしい」

井本「女性理事の皆さんに現状を聞くと、理事にはなったものの、組織についてきちんとしたガイダンスもなくスタートするケースも多いようです。何をしたらよいのかわからないまま、一期が終わってしまったという人は少なくありません」

三屋「それは多分、登用された側が、組織とはどのように運営され、物事が決まっていくのかといったことが、わからないから起こっている問題。理事になった側が組織に対し、理解していないことをきちんと伝えないとだめです。わからないことを『わからない』と聞く人には、皆、丁寧に説明するはずです。逆に、『そんなことも知らないのか』などという人は、リーダー失格」

井本「そうですね。また組織側も、新しい人を育てる気持ちで、きちんと組織について説明して欲しいですね。そして、リーダーシップ育成も必要だと思います。例えば経営戦略とか、強化とか、バックグラウンドや方向性を確認しながら、将来活躍しそうな人材をグルーピングする。シニアリーダーとしてコアでやっていくべき人、そうではないけれど最低限、必要なスキルを持っていたい人など、リーダーも3段階くらいに分けるなどして、うまく人材を育てていければいいなと思います。女性の指導者育成に関しては、JBAはいかがでしょう?」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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