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摂食障害を克服して日本記録 陸上・寺田明日香の大切な言葉「逃げることは悪くない」

陸上女子100メートルハードル日本記録保持者で東京五輪代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、過去に経験した摂食障害について語った。23歳の時に様々な理由から一度引退。その一つが精神的なものが原因で起きる「過食」と「拒食」だった。要因、克服できた経緯とは。次世代に同じ経験をさせないため、指導者への願いと若い選手に向けたアドバイスを送ってもらった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

摂食障害を乗り越えた寺田明日香、経験が次世代のヒントに【写真:奥井隆史】
摂食障害を乗り越えた寺田明日香、経験が次世代のヒントに【写真:奥井隆史】

明るく振り返った摂食障害の経験、31歳ハードラーの助言「体の変化を認めて」

 陸上女子100メートルハードル日本記録保持者で東京五輪代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、過去に経験した摂食障害について語った。23歳の時に様々な理由から一度引退。その一つが精神的なものが原因で起きる「過食」と「拒食」だった。要因、克服できた経緯とは。次世代に同じ経験をさせないため、指導者への願いと若い選手に向けたアドバイスを送ってもらった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 今、トラックに立つ姿からは想像できない。レーンをグッと睨みつけるような鋭い視線。神経を研ぎ澄まし、鍛え抜かれた肉体を存分に動かしながら10台のハードルを越えていく。東京五輪代表権の獲得に向けて戦っていた6月上旬。31歳の寺田は競技中とは打って変わった柔らかい笑みを浮かべながら、リモートで過去の経験を振り返ってくれた。

 日本選手権3連覇など第一線で活躍したのち、23歳で一度は競技を引退した。2014年に結婚し、長女・果緒ちゃんを出産。2年後に7人制ラグビーに挑戦した。2019年に陸上競技に復帰すると、同9月に29歳で日本新記録を樹立。今年は4月29日、6月1日と日本記録を2度更新するまで強さを増している。6月26日の日本選手権では大会史上最長ブランクとなる実に11年ぶりの女王に輝いた。

 競技生活の転機となった引退。いくつかあった理由の一つが摂食障害だった。

 20歳を過ぎ、女性としての体の変化が見られた頃。「太った?」と周囲の何気ない言葉が気になった。一方、アスリートとして体作りが求められる。その狭間に立たされた。

「食べなきゃいけないし、食べていない姿をコーチに見せると怒られる。食べる姿も見せなきゃいけないと思うようになっていました。ただ、食べて自分の体がどんどん変わっていくのも凄くストレス。結局、食べる、吐くのがやめられない状態でした」

「過食」と「拒食」の繰り返し。体重は2週間で4、5キロの上下動があった。体重計には起床時、練習の前後、食後と一日に何回も乗った。「周りにも『乗らない方がいいよ』と言われるけど、乗っちゃう。そして気にする。もう、どこがちょうどいい体重なのかもわからなくなっているんですよね(笑)」。足元に映る数字に一喜一憂した。

 体重だけが正解じゃない。20代前半の自分はそれに気づけなかった。「今では笑えるぐらいになっているんですけど。速く走る、飛ぶことを考えた時に、体が重く感じると動けなくなるんじゃないかと思って、凄く怖かったです」。正しいとは言えない認識を持っていた。

 罪悪感による嘔吐で結果的に栄養を吸収できず、練習をこなすことも難しくなっていった。元々あった貧血が悪化し、生理も止まると、疲労骨折になる悪循環。予選敗退に終わった13年の日本選手権後、23歳でスパイクを脱ぐ決断をした。チームには、摂食障害のことを相談していなかった。

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