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「生まれてから一度も生理がない」と言った大学生 女子選手が陥る「無月経」の理由

無月経はカラダが発するSOS、3か月以上放置すると将来の妊娠に影響も

 しかし、無月経はある日突然、なるわけではありません。無排卵から月経不順になり、最終的に無月経になってしまう。ですから、「月経がたまにしかないな」「経血量が少ないかな」「基礎体温を測ると低温期と高温期にわかれない(=排卵がない)な」など、「なんかおかしい!」と気づいたら、早めに保健室の先生や家族に打ち明けて、専門医の診察を受けることが大切です。

 現在、日体大の新体操部は、元新体操日本代表の村田由香里准教授が選手の指導に当たっています。村田准教授は、シドニー五輪で団体5位入賞を果たした経歴の持ち主ですが、現役時代は高校1年から6年間、無月経だったそうです。当時の経験から大学では、食事からコンディショニングまで、選手たちの将来を見据えた体作りと体調管理を徹底。診察の結果、選手たちが「視床下部性無月経」だとわかれば、適切な対処をして改善するように努めるなど、健康なカラダを維持しながら競技に取り組む重要性を伝えています。

 無月経はカラダが発するSOSです。時には裏に病気が隠されている場合もあります。大学の陸上部に「生まれてから一度も生理がない」という長距離選手がいましたが、婦人科を受診すると、子宮が中学生ぐらいの未成熟な状態だとわかったこともありました。

 また、無月経を3か月以上放置すると、回復に時間がかかるだけでなく、命に関わるトラブルや将来の妊娠に影響が出るケースもあります。診察の結果、「視床下部性無月経」だとわかっても、適切な対処で症状は治まります。「おかしいな」と感じたら、見て見ぬふりをしないこと、一人で抱えて思い悩まないことが、とっても大切ですよ。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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