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「59秒で走っても…」田中希実が女王ヤビに「あっぱれ」 5000m銀の裏側、前日にYouTuber“緊急招集”で描いた勝負プラン

愛知・名古屋アジア大会の陸上は28日、パロマ瑞穂スタジアムで女子5000メートル決勝が行われ、田中希実(豊田自動織機)が15分11秒65の銀メダルを獲得した。1万メートル銀、1500メートル銅に続き、今大会3つ目のメダルとなった。レース前日の調整では、YouTuberを“緊急招集”していたことを明かした。

女子5000メートル決勝、ウィンフレッド・ヤビ(右)に食らいつく田中希実【写真:ロイター】
女子5000メートル決勝、ウィンフレッド・ヤビ(右)に食らいつく田中希実【写真:ロイター】

「THE ANSWER 陸上PLUS|NEWS」 愛知・名古屋アジア大会

 愛知・名古屋アジア大会の陸上は28日、パロマ瑞穂スタジアムで女子5000メートル決勝が行われ、田中希実(豊田自動織機)が15分11秒65の銀メダルを獲得した。1万メートル銀、1500メートル銅に続き、今大会3つ目のメダルとなった。レース前日の調整では、YouTuberを“緊急招集”していたことを明かした。

 リベンジの舞台だった。24日の1万メートル決勝で敗れたウィンフレッド・ヤビ(バーレーン)と再び一騎打ちに。残り1周。田中がギアを上げると、同時にヤビも急加速。5人だった集団から2人で抜け出した。田中は必死に食らいついたが、2024年パリ五輪3000メートル障害金メダリストのヤビが一枚上手だった。1秒47届かなかった。

 2人はフィニッシュ後、抱擁し、言葉を交わした。健闘を称え合った。田中のラスト1周は60秒を切っていた。「60秒を切ったら勝機あるんじゃないかなと思っていたのですが、59秒で走っても負けたってことは、もう本当に彼女のあっぱれ。しかも59で走ったら勝てるっていう常識を覆してくる世界を実感することができた」と振り返った。

 前日27日には800メートルの実戦的な練習を行っていた。親交のあるYouTuber「たむじょー」を練習相手に招いた。帝京大時代に箱根駅伝8区を走った経験を持ち、ランニングとコメディを融合させた動画を投稿している29歳を相手に、実戦形式で800メートルを競り合った。「800メートルをやってみたところ、もう2周目がめちゃくちゃバテて(笑)。でも1周だったら持つということが分かった。ラスト60秒だけにこだわる」と勝負の道筋を描いた。

銀メダルを獲得した田中(右)と山本有真【写真:奥井隆史】
銀メダルを獲得した田中(右)と山本有真【写真:奥井隆史】

 もともとラスト800メートルで仕掛けようと考えていたプランを残り400メートルに切り替えた。この戦略は間違っていなかった。ただ、それを上回る相手の力があった。

 その現在地が来季への指針になった。「海外の選手はフィジカルだったり、気持ちだったりで押し切っていくんですけど、気持ちでも、体でも敵わないんだって開き直った。なので、もう技術でなんとかラストを押し出していくことを来季につなげていきたい」。決してネガティブな意味ではない。現状を受け入れ、次のレベルに上がるための糧とする。技術に活路を見出していく。

 初出場のアジア大会で、1万メートル銀、1500メートル銅、5000メートル銀と出場した全3種目でメダルに輝いた。1500メートル、3000メートル、5000メートルなどの日本記録を持つ女子中長距離界のエース。タフな日程をこなしながら、世界と戦うために磨くべきものも見えた。

(取材=寺田 辰朗 / 構成=THE ANSWER編集部)



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