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物が投げ込まれる超アウェーで20年ぶり快進撃 再びアジアトップ級に戻った日本代表の確かな自信【ハンドボールアジア選手権】

韓国の成長、中東の笛にも苦しんだ過去も…再びアジアトップレベルに

 日本の強さの裏に、若手の成長がある。昨年10月にカタールで行われたパリ五輪アジア予選、攻守にチームを引っ張って36年ぶり予選突破に導いたのは23歳の安平と22歳の吉田だった。今大会では21歳の泉本心(中大)や23歳の富永聖也(トヨタ車体)が活躍。シグルドソン監督は「世界選手権出場を決めた後は、若手に経験を積ませたい」と話していたが、想像を超える活躍ぶりだった。

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 パリ五輪まであと半年、30歳の東江は「戦える選手層が厚くなった」と喜ぶ一方で「まずは、メンバーに残らないと」と代表入りへ危機感さえ口にした。シグルドソン監督就任の17年に高校生として初めて代表に抜擢された部井久も「年齢は若い(24歳)けど、もう中堅なので。頑張らないと」と強い決意で話した。

 開催国として出場した東京五輪は1次リーグ敗退。バーレーンに得失点差で2足りずベスト8入りを逃したが、その差を埋める準備は進んでいる。シグルドソン監督は「今大会の選手に感謝しているし、誇りに思う。この選手たちでオリンピックへ準備を進めたい」と手ごたえを口にした。東江も「まずベスト8、そこからメダルを」と高い目標を掲げた。

 バーレーン湾をはさんだカタールではサッカーのアジア杯が行われている。自国開催で優勝を狙ったハンドボールが日本に敗れたため、国民の関心は隣国へ。3位決定戦と決勝のスタンドがガラガラだったのは、チケットを持つファンが同時刻のアジア杯ヨルダン戦のテレビ観戦を優先したためだともいわれた。

 東江は「結果は気にしていました。ハンドボールにもメディアが来てくれるようにしないと」。部井久も「サッカーよりも上に行きたいと思っていました」と真剣に言った。サッカーだけでなく、男子が48年ぶりに五輪予選を突破したバスケットボールや16年ぶりのバレーボールも「長く苦しんだ分、親近感がある」(部井久)。各競技が刺激し合うことが、好結果につながっている。

 かつてアジアのハンドボールを牽引した日本だが、80年代に韓国が急成長。90年代からはクウェートなどの「中東の笛」に悩まされ、近年はカタールの「帰化戦略」にも苦しんだ。14年はアジア選手権、アジア大会ともに屈辱的な9位。あれから10年、再びアジアのトップレベルまで戻ってきた。

 五輪予選で大勝するなど韓国への苦手意識は薄れてきた。国際ハンドボール連盟(IHF)の介入やビデオの発達で「中東の笛」も見なくなった。個々の選手がレベルを上げて「帰化選手」たちにも対抗できるようになってきた。シグルドソン監督は「優勝はできなかったが、私は日本がアジアNO1チームだと思っている」と胸を張った。88年ソウル五輪以来、予選を突破して臨む大舞台で「彗星JAPAN」が世界に挑む。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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