ブダペスト世界陸上、女子1万メートル決勝

　19日に開幕したブダペスト世界陸上で感動の名言が生まれた。女子1万メートル決勝で先頭を走っていたシファン・ハッサン（オランダ）はゴール20メートル手前で転倒。31分53秒35で11位となる大波乱があった。しかし、当の本人はレース後、「こけちゃったわ。でも、人生山あり谷あり。だから人生は美しいのよ」と明るく笑い飛ばした。これに、ネット上で「メンタル最強」「一流の人のメンタリティーは凄い」「心に沁みる」と感動が上がった。

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　まさかの結末だった。東京五輪で5000メートル、1万メートル2冠を達成し、今大会は1500メートルと合わせ、異例の3種目挑戦のハッサン。残り1周、バックストレートで先頭に立つ。ただ、最後の直線でグダフ・ツェガイ（エチオピア）とのマッチレースとなったが、脚がもつれたのか、接触があったのか、ラスト20メートルで転倒した。会場が悲鳴に包まれ、起き上がったハッサンは歩いてゴール。11位となった。まさかの結末に騒然とした空気にスタジアムは陥っていた。

　ところが、ミックスゾーンに現れた当の本人は終始明るい表情だった。「最後の20メートルあたりで、お互いに接触したと思う。それでバランスを崩して、こけちゃったわ」と振り返った。右肘から出血しており、「血が出ているの。膝も…」と明るく報道陣に見せたハッサン。「人生は良いことばかりじゃない。山あれば谷あり。だから人生は美しい」と爽やかに名言を残した。

　このコメントが紹介されると日本のネット上でも感動が広がった。

「一世一代の成功目前の失敗を笑い話にできるメンタル最強」
「ヤバい、ちょっと泣いてしまった」
「一流の人のメンタリティーは凄いな」
「感動。心に沁みる。ポジティブに考えれば次に生きる」
「格好良すぎる」
「オランダの谷口浩美」
「名言だなあ」
「すごいなぁ、強いなぁ。この精神力、人間力を讃えたい」

　日本人からすれば、バルセロナ五輪男子マラソンで転倒し、「こけちゃいました」と言った谷口浩美を彷彿とさせる笑顔。トラックの中長距離で無欠の強さを誇ってきた鉄人女王の名言は、失意に暮れたすべてのファンが救われたに違いない。