CS逃したバスケ三河、40歳ベテランが涙したワケ “常勝”復活へ、来季も試される育成力
若手の飛躍を支えたベテランの経験
柏木は一呼吸置いてから、冷静に今季を振り返った。
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「まさかこんなに大きくメンバーが変わるとは思っていなかったので、苦しいシーズンでした。(メンバーが)変わるのは仕方がないし、その上で結果を残すのがこの世界。そんななかでも最後、CS出場を争うところまでこられました。本音を言えば、もう少し早く(CSを)決めたかった。でも今日はみんな気持ちも入っていましたし、絶対に勝つんだと粘りに粘ったんですけど、駆け引きの部分や一つのリバウンド、ルーズボール、そういう細かいところが足りなかった」
今季の三河は、昨季のレギュラーシーズンMVPの金丸晃輔(→島根スサノオマジック)、生え抜きの加藤寿一(→京都ハンナリーズ)らが移籍。かつて柏木とともに、『常勝軍団』を構成したメンバーは1人も残っていない。
開幕戦のスターターはカイル・コリンズワース、ダバンテ・ガードナーに、24歳のシェーファー アヴィ幸樹、新加入の角野亮伍(25歳)、西田優大(23歳)。大幅に若返ったチームを、柏木やキャプテンの根來新之助らベテラン勢が支え、伸び伸びとプレーできる雰囲気を作り上げた。若さゆえの勢いと脆さ、その両方を抱えたチームはアップダウンを繰り返しながらもチーム力を高め、若手選手は“コート上でのヘッドコーチ”柏木の経験を吸収しながら成長を遂げた。
その筆頭が、三河在籍3年目のPG長野誠史だ。昨季は勝負どころでは柏木がコートに立つことが多かったが、今季は長野がその役を担うことが増えた。先発PGのカイル・コリンズワースがインジュアリーリスト入りし、柏木が怪我で戦列を離れていた間も、細谷将司と2人で過密日程を戦い、CS進出に望みをつないだ。
長野も「今年は大事なところで使ってもらえるようになって、ヘッドコーチからの信頼も大きくもらったのかなと感じています」と手応えを口にする。
「(三河に加入した2019-20シーズンは)若手の3人(長野、熊谷航、會田圭佑)が経験もないなかで、『これが正解?』みたいに探り探りやっていた。迷いもあって、そうした迷いはミスにつながっていた。去年柏木さんにいろいろと教えてもらったことが、今季のいい成長につながったと思いますし、コントロールするところも去年よりはできたと思っています」
長野が柏木から学んだのは、プレー面だけではない。
「このチームはCSに出ることが最低限。常に強いチームであるべきだと思う。ファンの方に、『昔は強かったけど、今は……』とは思われたくもない。来季こそはCSに出ることは確実に、地区優勝も目指したい」
強豪・三河のメンタリティーも、しっかりと受け継いでいる。