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「ここから飛び降りたら楽に…」 かつて心を壊した大山加奈の告白とメンタルヘルス問題【THE ANSWER Best of 2021】

東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は連載「THE ANSWER スペシャリスト論」から、元バレーボール日本代表の大山加奈さんが語った「アスリートのメンタルヘルス問題」。

元バレーボール日本代表の大山加奈さんが語った「アスリートのメンタルヘルス問題」【写真提供:株式会社RIGHTS.】
元バレーボール日本代表の大山加奈さんが語った「アスリートのメンタルヘルス問題」【写真提供:株式会社RIGHTS.】

「THE ANSWER the Best Stories of 2021」、大山さんの壮絶な経験とは

 東京五輪の開催で盛り上がった2021年のスポーツ界。「THE ANSWER」は多くのアスリートや関係者らを取材し、記事を配信したが、その中から特に反響を集めた人気コンテンツを厳選。「THE ANSWER the Best Stories of 2021」と題し、改めて掲載する。今回は連載「THE ANSWER スペシャリスト論」から、元バレーボール日本代表の大山加奈さんが語った「アスリートのメンタルヘルス問題」。


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 6月、テニスの大坂なおみがうつ症状に悩まされていることをSNSで明かし、全仏オープンを途中棄権。トップアスリートが闘う心の健康がにわかに注目を浴びた。大山さんも現役時代、メンタルヘルス問題に悩まされた一人。精神安定剤を服用しながらプレーした経験から、アスリートのメンタルヘルスについて考えを明かした。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

 ◇ ◇ ◇

 SNSに記した大坂のたった一つの投稿が、スポーツ界に大きな影響を与えることになった。

「カミングアウトはとても覚悟と勇気がいること。私が現役時代だったら、絶対に言えなかった。一方で、自分の弱さをさらけ出さないといけないくらい、追い込まれ、心が疲弊している状況。大坂選手と顔見知りではなくとも、すごく心配になりました」

 大山さんは「彼女が背負うものは、私とは比にならないくらい大きい」と断った上で、元スポーツ選手として語った。並外れた身体能力で困難に立ち向かい、勝利のために戦い続けるアスリート。しかし、体の強さと心の強さは決して「=」で結ばれない。

「アスリートだから(すべてが)強いんでしょって、言われることは現実としてあります」と大山さんも頷く。

 今回、アスリートのメンタルヘルス問題を扱いたいと申し出たのは、大山さんの方から。理由について「私自身も現役中に苦しんでいました。コロナ禍で一般の方も心の問題が増えていると聞く。私の発信では影響力は少ないけど、誰か一人でも助けになれば」とし、経験を打ち明けた。

「私はある時期から引退まで、精神安定剤を飲みながらプレーしていました」

 小・中・高すべて日本一を達成し、破壊力のあるスパイクを武器に2002年に17歳で全日本デビューした大山さん。2003年のワールドカップ(W杯)以降は「プリンセスメグ」と呼ばれた栗原恵とともに「パワフルカナ」の愛称で国民的存在となり、バレーボール人気を支えた。

「あれ……なんか、私、おかしい」。そう感じたのは、2004年アテネ五輪に出場した20歳の時だった。

 ある時期から不眠に襲われた。練習で疲れているのに、ベッドに入っても寝付けない。気づけば、午前3時、4時。睡眠導入剤に頼った。追い打ちをかけるように表れたのは動悸、めまいの症状。顕著だったのが「急に人前に出た時」だ。

「汗の量が尋常じゃなく、びしょびしょになるくらい出るんです。電車に乗っていても『あの人、大山さんじゃない?』と言われているのに気付いた時、汗が一気に出てきて、目の前が真っ暗になり、その場でしゃがみ込んでしまったことが何回もありました」

 研ぎ澄まされた肉体の調整が求められるアスリートにとって致命的なメンタル面の症状。それが、日常生活にまで及んでいた。

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