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「ユースと部活、どっちが育つのか」 中村俊輔が考える、日本サッカー積年の疑問

40歳の今なお生きる習慣…“気づいて、考えて、行動する”

 その頃の習慣は、40歳になった今にも大きな影響を与えている。

 全体練習が終わると、いち早くボールを持ってゴール前へ向かう。後輩選手とともに順番でシュートを放ち、ボールフィーリングを確かめる。代名詞となっているFKにも時間を割く。チーム練習では確認し切れない感覚を養うために、居残りでの自主練習に目を輝かせる。

「誰かから与えられたメニューだけをやるのではなく、何が足りないのかを自分で考えて練習している。それは中学3年生での失敗を経て、高校1年生になった時に実践した“考える”という能力だと思うし、プロになって20年以上経っても変わらない。自分が指導者になっても自主練習の時間を作りたいと思う」

 気づいて、考えて、行動する。こうして中村俊輔の原点ともいえる礎が築かれていった。そして、話は日本サッカーを取り巻く環境と状況の変化について展開されていく。

 自身が過ごした中学・高校時代から20年以上の月日が流れた。その間に日本代表はワールドカップに6度出場し、欧州のトップリーグで活躍する日本人選手が普通にいる。高校卒業後にJリーグではなく海を渡ってプロになるケースすらある。

「自分の頃の時代と違い、今は指導者ライセンスの制度が整っている。だからクラブと部活で指導者のレベルはほとんど変わらない。ただ、日本サッカー界にはさまざまな変化が起きた。プロになることが目的ではなく、その先のワールドカップや欧州トップリーグという目標を立てられる時代になった。選手の目線が高くなったことは、指導者にも大きな影響を与えているはず」

 クラブ育ちも部活動育ちも、そして指導者も、視線はより高みへ。そんな時代になりつつある。

 もちろん最後は選手次第。足りないものに気づくことも大切な能力のひとつなのだから。桐光学園への進学を振り返り「後悔は一切ないし、自分が学ぶことや気づくことがたくさんあった」と頷く。

 中村なりの答えはある。しかし、万人にとっての正解はない。

(インタビュー第2回は「今さら聞けない、中村俊輔の“FKの上達法”」)

<「中村俊輔式 サッカー観戦術」絶賛発売中>

「サッカーは、ゴール以外“も”おもしろい」 ――。

 1997年から20年以上、日本のみならず世界で活躍し、今年も現役を貫く中村が、より楽しめるサッカー観戦術を徹底解説した1冊が発売された。サッカーファンにはより深い玄人観戦のヒントを、そして「ゴールシーン にしか興味ない」というサッカー初心者には、ゴール以外にも試合を楽しめるヒントを現役トッププロが丁寧に教える。

 さらに巻末には、中村の「記憶に残る5ゲーム」を振り返り解説。「40歳になった今も現役でプレーしているから企業秘密にしたいこともあるけれど、できるだけ隠さず話すので、参考にしてサッカーをさらに楽しんでもらえたらうれしい」という中村の思いが詰まったサッカーファン必読の1冊だ。 

第1章 中盤を制する者がゲームを制す――「トップ下」の観戦術
第2章 戦術からサッカーを読み解く――「戦術」的な観戦術
第3章 ピッチを彩る個の力――「個」の観戦術
第4章 セットプレーはパッケージで楽しむ――「セットプレー」の観戦術
第5章 観戦方法についての考察 ――「スタジアム」&「映像」での観戦術
巻末特典 記憶に残る5ゲーム

 仕様:新書判・並製  頁数:1C・184 頁  定価:880 円(税別) 発行:ワニブックス

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