「14→0」に変わりそうな今年のNHKマイルC クロフネ、エルコンドルパサー…昔は「マル外」がとにかく強かった
中央競馬は古馬長距離王決定戦の天皇賞・春が終わり、今週は3歳のマイル王決定戦のNHKマイルカップ(芝1600メートル)が11日に東京競馬場で発走となる。今年で創設30周年という節目を迎えるレースは、時代とともに意義やレース傾向が変化。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとって、思い出深いのは「マル外」の存在だという。

今年で30回目の節目迎えるG1NHKマイルカップ
中央競馬は古馬長距離王決定戦の天皇賞・春が終わり、今週は3歳のマイル王決定戦のNHKマイルカップ(芝1600メートル)が11日に東京競馬場で発走となる。今年で創設30周年という節目を迎えるレースは、時代とともに意義やレース傾向が変化。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとって、思い出深いのは「マル外」の存在だという。
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先週末、仕事のために東京競馬場へ向かう道中に「創設30回記念NHKマイルカップ展」がJRA競馬博物館で行われているという広告を見た。その時に初めて「もう30年も前になるんだ」と感傷に浸ってしまった。
創設されたばかりのNHKマイルCが行われた1996年はまだ学生だった。このレースの前身は日本ダービーのトライアル競走だったNHK杯。1994年ナムラコクオー、1995年マイネルブリッジといったG1レースにおけるバイプレイヤー的な馬を輩出しているレースで個人的には好きなレースだった。それゆえに友達の前では新設G1にはあまり興味がないフリをして通ぶっていたような気がする。
しかし、第1回からこのレースが盛り上がったことは記憶に残っている。なにせ、勢いのある「マル外」がこぞってここへ出走していた。最近競馬を始めたファンには馴染みのないワードかも知れないが、マル外とは外国産馬のこと。当時はクラシックレースに外国産馬が出走することができなかったが、当時の競馬ファンとしては「マル外は強い」というイメージしかなかった。
第1回NHKマイルCを勝ったのはタイキフォーチュン。ラジオたんぱ杯3歳S、弥生賞と惨敗が続いていたが、毎日杯を勝って勢いはあった。2着ツクバシンフォニーは弥生賞で2着だったが、その勝ち馬はダンスインザダーク。そして、レースでは14着の惨敗だったが、3連勝でニュージーランドトロフィー4歳Sを制したファビラスラフインが1番人気を背負っていた。この3頭はもちろん、出走18頭中、14頭がマル外なのだから、マル外最強決定戦、マル外ダービーとも言われていた。
マル外のNHKマイルC優勝はシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネなど2001年まで続いたが、その後はマル外自体の出走数が減り、近年の外国産馬優勝はシュネルマイスターくらい。今ではマル外が強いというイメージを持つ競馬ファンもほぼいないように思う。