疲労骨折で4か月離脱「一番苦しく、もどかしい」 諦めなかった安藤友香が世陸代表に大前進
9月の東京世界陸上代表選考会を兼ねた東京マラソン2025が2日、東京都庁~東京駅前・行幸通りの42.195キロで行われ、女子では東京五輪1万メートル代表の30歳・安藤友香(しまむら)が2時間23分37秒で日本人トップの11位だった。日本陸連のJMCポイントランクで暫定1位に立ち、代表入りへ大きく前進。参加標準記録2時間23分30秒の突破はならなかったが、諦めずに走り抜いた。ストゥメ・アセファ・ケベデ(エチオピア)が2時間16分31秒で大会連覇。

東京マラソン
9月の東京世界陸上代表選考会を兼ねた東京マラソン2025が2日、東京都庁~東京駅前・行幸通りの42.195キロで行われ、女子では東京五輪1万メートル代表の30歳・安藤友香(しまむら)が2時間23分37秒で日本人トップの11位だった。日本陸連のJMCポイントランクで暫定1位に立ち、代表入りへ大きく前進。参加標準記録2時間23分30秒の突破はならなかったが、諦めずに走り抜いた。ストゥメ・アセファ・ケベデ(エチオピア)が2時間16分31秒で大会連覇。
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目標に届かなくても、諦めない。レース前の約束だけは貫いた。取材エリアで安藤が頭に浮かべたのは周囲の支え。「本当に感謝の気持ちでいっぱい」。目標の2時間20分切りには及ばない結果に「悔しい気持ちの方が大きい」と漏らしたが、最後まで胸を張って言葉を繋いだ。「目の前のこの瞬間をとにかく全力で頑張る。少しでも早くゴールできるように」。レース中はその一心だった。
序盤からパリ五輪補欠の細田あい(エディオン)と2人で日本人女子の先頭に立ち続けた。13キロ付近で細田が遅れ、以降は1人に。30キロは1時間39分57秒と順調だったが、単独走となった30キロ以降に失速した。「先に足に来てしまった。気候の関係もあって多分脱水もあったと思う」。ゴール時の気温は20.3度の暑さ。狙った記録に届かなくても、下げた両腕を振らない“忍者走り”で駆けた。
昨年3月の名古屋ウィメンズを自己ベスト2時間21分18秒(日本歴代9位)で優勝。直後に左大腿骨の疲労骨折が発覚した。7月にジョギングを再開。本格的な練習に入ったのは、ワコールから移籍した8月中旬になってからだった。「一番苦しい、もどかしい気持ちでいっぱいだった」。乗り越えられたのはスタッフや関係者のおかげだ。だから、レース後すぐに感謝の言葉を繰り返した。
東京五輪は1万メートルで出場。酸いも甘いも味わった。「人との出会いがなかったら陸上を辞めていた人間。一番の原動力は本当に感謝の気持ち。自分ができるのは走って恩返しすることだけ」。様々な分岐点で出会った全ての人への思いを背負ってレースに臨んだ。
世界陸上の代表選考で優位に立った。出場が叶えば、17位だった2017年ロンドン大会以来。「あの時は未熟だったし、恥ずかしい結果で終わってしまって凄く悔しい。チャンスが巡ってきたらリベンジしたい」と意気込んだ。
○…東京世界陸上の代表は最大3枠。日本陸連のJMCポイントランク1位で条件を満たした選手、参加資格有効期間(23年11月5日~25年5月4日)に日本記録をマークし、保持した選手が内定。さらに3月9日の名古屋ウィメンズまでの選考対象レースで、参加標準記録2時間23分30秒を突破した選手から総合的に判断される。大阪国際女子で2時間21分19秒を記録し、日本人トップの2位だった小林香菜、2時間21分33秒で同2番手に入ったパリ五輪6位の鈴木優花が有力候補だったが、この日で安藤がポイントで鈴木を逆転。最有力となった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)