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若手に言う「鬼のように練習しろ」 負けん気の塊・上田桃子が逃げなかったゴルフ漬けの20年

ホールアウトして花束を手に、駆け付けた選手たちと集合写真に応じる上田(手前)【写真:Getty Images】
ホールアウトして花束を手に、駆け付けた選手たちと集合写真に応じる上田(手前)【写真:Getty Images】

今、後輩たちに残す言葉「自分の人生に責任を持って挑戦を」

 20代後半から通ったのが料理教室。自己管理はもちろん、気分転換にもなり「カニクリームコロッケは自慢できるくらい美味しい。花嫁修業になれば」と照れ笑いしていた。気分転換は若手にも勧めるのか。そんな問いに「いや、練習しろって言いますよ」と即答された。

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「若いうちは鬼のように練習した方がいい。年を取ると練習ができなくなるんですよ。若い頃はとにかくゴルフのことだけを考えることが大事だと思っていましたけど、今はやりたくてもできない。だから、ゴルフ以外のことも大切。そこで違うことを考えるのがまたゴルフにも繋がるから」

 ゴルフ漬けの生活は変わらなかった。2008年から約5年間米ツアーに挑戦。デビューイヤーの2005年と国内ツアーの出場数が少なかった2012年以外、計16年もシードを守ってきた。年齢を重ねても高精度のショット、アプローチでスコアメークしてきた。若い頃に意地で磨き続けた技術は簡単に錆びない。

 毎年、新世代が台頭する女子ゴルフ界。「若いっていいな」と羨みつつ、プレーを見れば「負けないぞ」と火が付く。「ゴルフをやっている時は一度も年齢を気にしたことがない」。仲のいい後輩が2位で惜敗した時、LINEを送った。「私も悔しい負けをした。強くなれるよ」

 いつしか柔らかい雰囲気も出て、求められれば助言する。「桃子さんみたいなプロになりたい」。目標に掲げる若手は1人や2人ではない。この日のラウンド後、特製Tシャツを着た多くの後輩たちに囲まれた。

 今、次世代に残す言葉とは。

「みんな自分で好きでプロになっていると思う。小さい時は親に言われて始めた人も、プロになったらそれが自分の人生になる。だから自分の人生に責任を持って、いつもチャレンジしてほしい。

 私はいい時も悪い時も逃げずにやってきたつもり。思うようにいかない日があったけど、上手くなりたいという気持ちがいつもあった。逃げずに正面から向き合うことで経験をもとに成長できた。常に学びのゴルフ生活だった。

 正面から向き合うことでわかる答えもある。今、次のステップを迎えようとしている時にそれがよかったなと思えるので、正面から自分のゴルフに向き合ってほしい」

 個性に溢れたゴルファーがまた一人、ツアーから去る。ゴルフと真摯に、全力で、真正面からぶつかった20年のプロ生活。そろそろ足を休めたっていい。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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