阿部一二三が「30年に一人の逸材」の理由 恩師が説く「プレースタイルと肉体」論
柔道の世界選手権男子66キロ級で2連覇を達成し、2020年東京五輪では全競技で最も金メダルに近い選手として期待される阿部一二三(日体大)。豪快な担ぎ技を主とする“攻めの柔道”が見る者を魅了するが、「まさに柔道家としての肉体的才能の恩恵を最大化するプレースタイル」と全日本男子体力強化部門長の岡田隆氏(日体大准教授)は話す。自らもボディビルダーとして活躍する岡田氏が語る「プレースタイルと肉体」論とは。
全日本男子体力強化部門長・岡田隆氏が語る阿部一二三の肉体的才能
柔道の世界選手権男子66キロ級で2連覇を達成し、2020年東京五輪では全競技で最も金メダルに近い選手として期待される阿部一二三(日体大)。豪快な担ぎ技を主とする“攻めの柔道”が見る者を魅了するが、「まさに柔道家としての肉体的才能の恩恵を最大化するプレースタイル」と全日本男子体力強化部門長の岡田隆氏(日体大准教授)は話す。自らもボディビルダーとして活躍する岡田氏が語る「プレースタイルと肉体」論とは。
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阿部選手は柔道界でも「20年、30年に一人の逸材」と言われています。その理由の一つが、スポーツ選手としての理想を具現する肉体的才能です。例えば、阿部選手はウエイトトレーニングにわざわざ多くの時間を割かなくても、稽古の中で試合に必要な筋肉量がついてきます。また、筋肉のコントロールも恐ろしくいい。その能力が、一本を決める力の一つになっていると思います。
ちなみに、彼の体はフォルムも非常に整っている。しかも減量期に入り、バキバキに絞られてくると、肌の表面に非常に細かく筋肉の線が刻まれてきます。私見ではありますが、筋肉のコントロールが素晴らしく良いゆえに、全体の形が整い、一つ一つの筋肉も目視できるほど発達しているのではないでしょうか。
阿部選手がそうであるように、どんなスポーツでも、体格や体形にあったプレースタイルがあります。例えば現全日本男子監督の井上康生さんは現役時代、相手を豪快に跳ね上げる内股が決め技でした。当時の井上さんは100キロ級の選手。つまり、片足で自分と相手の体重を合わせた200キロ近い重さを支え、バンッと跳ね上げることができた。今でも井上さんの足、特にふくらはぎは、信じられないほど太く、強靭。200キロを跳ね上げるエンジンだったと思えば、それも当然です。
井上さんの足はもちろん、稽古やトレーニングの賜物でもありますが、やはり、持って生まれた肉体的才能でもあります。