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進化止まらぬラグビーリーグワン、世界クラスの大量来日だけじゃない理由 選手も肌で実感「毎試合キツい」

4月27日の府中ダービーを制してリーチ(左)とともに会見に臨んだブラックアダーHC、BL東京の進化を感じている【写真:吉田宏】
4月27日の府中ダービーを制してリーチ(左)とともに会見に臨んだブラックアダーHC、BL東京の進化を感じている【写真:吉田宏】

ブラックアダーHCが見るBL東京の進化、成長

 基本的な数値に昨季から大きな変化がなくても、ゲームの詳細を見ると様相は異なってくる。例えば7点差の接戦となった試合の数を見ると、昨季の2勝3敗から5勝1分けに変わっている。リーチが指摘する「勝ちきれる」「守り切れる」勝負強いチームへの変容がみられる。

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 今季のチームの進化、成長を、ブラックアダーHCはどう見ているのだろうか。

「いまのチームのパフォーマンスが出来るまでに3、4年の時間がかかりました。今シーズンの好調の理由は、やはり選手層(の厚み)であり、一貫性を持ってプレー出来ていることかなと思います。当然、リーダーシップも作り出せている。ここまでに要した時間は、まぁ想像通りくらいかなと思います。正しいタイミングでプランをしっかりと導入出来ていると思っています。例えばリッチー(モウンガ)とシャノン(フリゼル)が今季加入しましたが、これが昨シーズンだったら、上手くいかなかったかなと思います。今シーズン来てくれたことが、チームの自然な発展のためにはいいタイミングだった」

 指揮官の思い描く進化を遂げる前の段階でモウンガらが加入したとすれば、このチームは彼らレジェンド級の選手に完全に依存してしまっていた恐れがあった。だが今季のチームは、選手個々が求められるプレーを遂行できるレベルに達しているからこそ、スーパースターのプレーを補い、そのパフォーマンスを十分に引き出し、組織として機能させることに成功しているのだ。このタイミングで過去に主将を務めたリーチ・マイケルに再登板を託した思惑も聞いてみた。

「リーチに関しても、リッチーとシャノンが今季加わる中で、やはり世界で尊敬を受ける存在がリーダーとして必要だなと思っていました。キャプテンというのは、様々な要求も多い役割ではありますが、そこで素晴らしい仕事をしてくれています」

 最大限の効果が期待されるタイミングで世界トップクラスの選手を獲得して、彼らも一目置くリーダーを選ぶ――。こんなブラックアダーHCのキャスティング能力も、このチームの躍進を支えている。

 このような指揮官の戦略も背景にしながら、チームはリーグ戦2位で2シーズンぶりのプレーオフ進出を決めた。接戦は多いものの、順位、データを見ても、打倒埼玉WKの筆頭候補と位置付けていいだろう。では、このチャレンジャーは、ノックアウトトーナメントをどう戦い、今季唯一の敗戦を喫した埼玉WKをどう分析し、挑んでいくのだろうか。後編では、ブラックアダーHC、リーチ主将の言葉から、プレーオフの行方、いかに最強の相手と戦うのかを考える。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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