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リーチ・マイケルが見た新生ラグビー日本代表 第2次エディージャパンで指揮官と再び奇跡に挑む旅

エディージャパンが動き出した。まだ代表候補の前段階といっていい「日本代表トレーニングスコッド」という名称で、2月6、7日の短期合宿だったが、16シーズンに渡り日本代表を牽引してきたFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)も自身5度目の挑戦となる2027年ワールドカップ(W杯)オーストラリア大会への意欲を見せた。今回HCに復帰したエディー・ジョーンズの下で、2015年大会では主将として南アフリカを撃破。桜のジャージーの栄光も苦闘も知る男は、帰って来た指揮官、そして顔ぶれが見え始めた新生日本代表をどう見たのか。35歳の大黒柱の言葉から、第2次エディージャパンの実像が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)

短期合宿に参加したリーチ・マイケル、第2次エディージャパンをどう見たのか【写真:吉田宏】
短期合宿に参加したリーチ・マイケル、第2次エディージャパンをどう見たのか【写真:吉田宏】

“ブライトンの奇跡”も知る35歳の大黒柱から浮かび上がる日本代表の実像

 エディージャパンが動き出した。まだ代表候補の前段階といっていい「日本代表トレーニングスコッド」という名称で、2月6、7日の短期合宿だったが、16シーズンに渡り日本代表を牽引してきたFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)も自身5度目の挑戦となる2027年ワールドカップ(W杯)オーストラリア大会への意欲を見せた。今回HCに復帰したエディー・ジョーンズの下で、2015年大会では主将として南アフリカを撃破。桜のジャージーの栄光も苦闘も知る男は、帰って来た指揮官、そして顔ぶれが見え始めた新生日本代表をどう見たのか。35歳の大黒柱の言葉から、第2次エディージャパンの実像が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)

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 新生エディージャパンの始動となるトレーニングスコッド合宿。リーチも新鮮な思いで9年ぶりの指揮官による練習に打ち込んだ。

「刺激になりますね。エディーさんと話していても、すごく勝ちたいと感じて、ここからどんどん日本ラグビーを変えていきたいという気持ちが強くて、一緒にやりたいなと思います。懐かしい感じもあったり、初日はすごくパッションを感じました」

 2月第1、2週に渡り行われた国際大会クロスボーダー2024に参加した昨季リーグワン上位4チームからの招集は回避して、昨年6月にオープンした日本ラグビー協会の強化・普及拠点「JAPAN BASE」(福岡市)に集められたのは34人。大学生も9人が加わる新旧の桜の戦士候補が、3年後のW杯へのスタートラインに立った。指揮官は明言を避けたが、不在の強豪4チームから選ばれるであろう選手を加えると50人前後と見積ることが出来る人数は、6月から本格始動する「代表スコッド」の大枠と考えると妥当な数字だろう。

 2日目は午前中で打ち上げと、2日間にも満たない合宿は、1日1回のグラウンド練習とミーティング、そしてウエートトレという内容だったが、短期間でも選手を集めた狙いを戻って来た指揮官はこう説明している。

「今回は概念を落とし込む合宿だったので、どういうスタイルでプレーしていくのか、その上で何が必要かを理解させることが目的だった。まだよく知らない選手たちが、実際にどうかを知りたかったという狙いもあったので、すごく役立ちました」

 そんな第2次エディージャパンの第一歩となった短期合宿の中で、リーチはすでに自身5度目となるW杯へ向けたチームの青写真を思い描き始めている。

「エディーさんとも久しぶりにいろいろ話して、今後日本が何をやらないといけないかを話をしました。現状日本は世界ランキング12位で、そこからどうやって成長していくか、何が足りないか、何をしないといけないかというのを、選手だけのグループに分かれて発表したりもしました。日本のDNAとしてのスピードには、いろいろな速さがありますが、とにかく速いラグビーを鍛え直さないといけない」

 2012年から4シーズンの第1次エディージャパンでは、どんな相手にも勝つ気で挑むマインドセットと、日本選手の持つスピード、俊敏さを生かしたアタッキングラグビーをベースに強化を進め南アフリカを撃破した。今回も指揮官のスピードへのこだわりは変わらないが、思考や組織としての動きにも速さと早さを求めて、さらにスピードを加速させるのが「超速ラグビー」のコンセプトだ。

 暫定的な始動にも関わらずグラウンドでは早くもゲーム形式のメニューを導入した。「超速」のために必要なプレーや考え方を選手に落とし込み始めたが、ジョン・カーワン、ジェイミー・ジョセフら歴代代表HCの下でも中心選手として経験を積んできたリーチは、エディーの打ち出した新たなスタイルを歓迎する。

「いい方針だと思います。それは日本代表にとってこれからずっと同じだと思います。独特なラグビー、周りと同じようなスタイルじゃない日本らしいラグビー。それがスピードなんです」

 長らく桜のジャージーで戦い続けてきたリーチも、スピードにこだわる世界でも特異なスタイルに日本の活路があると考えている。これが、1次プール敗退に終わった23年大会までのリーチ自身の総括と受け止めていいだろう。史上最大の金星と呼ばれた15年大会の南アフリカ戦では指揮官の指示を拒否して逆転トライを奪ったリーチだが、日本代表がどんなラグビーで世界に挑むかというベースラインでは、指揮官と同じ理想を思い描く。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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