5度目のW杯が実現すれば38歳で本大会「いい見本にならないといけない」

　身長190cm、体重95kg。そのフォルムを見ると、シニア代表クラスではまだまだ体の厚みが足りないが、兵庫・報徳高校時代からみせるしなやかなスピードと、まだ細身の体型からは想像出来ないフィジカルの強さは可能性に満ちている。

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　今回は京産大、U20同様にLOでの招聘だったが、国際舞台では報徳時代と同じFW第3列での資質を湛えている。合宿では、チーム練習の後にはリーチに頼み込んでブレークダウンでの体の使い方をマンツーマンで指導を受けるなど、旺盛に代表レベルのスキルを吸収しようとしている。そこにジャッカルの盟主・姫野和樹（トヨタヴェルブリッツ）や、エディーまで巻き込んでの練習後のセッションからは、日本代表FWの積み上げられてきた伝統が継承されていく流れを感じ取れた。

　エディーも追加招集のSH高木城治（京都産業大1年）とともに予想以上と評価した選手に同級生の石橋の名を挙げている。

「この2人は本当に素晴らしかった。日本はいい才能を発掘出来ている。だから、もっと質の高い試合をしていくことが必要だ。今回のような合宿も、（才能発掘に）非常に役立っている」

　コストリーについては、NO8として破格のスピードが光る。ニュージーランドから岡山・環太平洋大に留学して、神戸製鋼OB小村淳監督の推しもあって、名門チームに昨春入団。192cm、102kgのサイズながら、今季リーグワンでは開幕戦から先発NO8に定着する。パワー勝負のタイプではないが、リーグ戦で見せた、追走して相手BKにも追いつく俊足が超速ラグビーのエイトマンとしての可能性を印象づける。

　初のトレーニングスコッドでの経験を、コストリー自身は「日本に来てから、ニュージーランドじゃなく日本代表を目標にしているので、（メンバー入りは）驚いているが、嬉しい。自分の持ち味のスピードを武器にしながら、フィジカル面もアピールしていきたい」と意欲的だ。エディーも「想定以上にいい選手で、とても興味深い。すごく賢くて、日本語も上手」と、その資質を認める。最近の日本代表では、姫野やリーチが８番を背負ってきたが、接点やジャッカルなどフィジカルバトルが重視されるポジションの中で、スピードを最大の武器にする新鋭が、どこまで代表争い、ポジション争いに食い込めるかは興味深い。

　動き始めた第2次エディージャパンの中で、LO兼務という新たな挑戦を受け入れたリーチ。5度目のW杯が実現すると、38歳で大会を迎えることになるが、新生ジャパンの中では、自分だけのためではないミッションも感じている。

「いい見本にならないといけないと、いつも考えています。練習の姿勢、練習の始めからどう取り組むか、準備、普段のコールとか。そこちゃんとしないといけないと思います」

　23年W杯での日本代表の平均年齢は28歳台。出場国の中でも高齢だったが、この数字が意味するのは、次回大会では世代交代が必至だという現実だ。6月からの本格始動でも、コストリーや伊藤ら今回の合宿に呼ばれた新しい世代が選ばれる可能性は少なくない中で、リーチの経験値が大きな意味を持つ。1選手でありながら、若手のメンター（助言者）であり、昨年のプレーでも証明するリーダーでもある。

　新生ジャパンの成長には欠かせないベテランが、9年ぶりにタッグを組む指揮官とのコンビで再び奇跡に挑む旅が始まった。