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常識では考えられない男子ハンド監督交代劇 その裏に協会側の政変、両者の関係に記者が抱いた違和感

どちらが悪いというわけではないが…選手・ファンの存在を忘れてはならない

 もちろん、協会も監督も日本代表を強くしたいという思いは一緒。五輪予選突破という目標も同じだった。もっとも、協会と監督との間に信頼関係があったかといえば疑問は残る。代表活動について最低限のバックアップはしていたはずだが、そこに「熱」は感じなかった。選手たちは代表の成長を「8年間の積み重ね」と言ったが、協会と監督との関係は、8年間でどんどん希薄になっていった。

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 昨年10月、五輪出場を決めた歓喜のドーハから凱旋帰国した日本代表チームにシグルドソン監督の姿はなかった。日本協会は「そのまま(母国の)アイスランドに帰った」と説明したが、花束での祝賀セレモニーに指揮官がいないのは寂しかった。協会関係者も選手のことを褒めるだけで、監督の手腕には触れようともしなかった。歓喜に沸く空港で感じたのは、強い違和感だった。

 任期途中で職務を放り出すシグルドソン監督は責められるだろう。ただ、そこまで監督を追い込んだ責任は日本協会にもある。どちらが悪いというわけではないし、条件面などで折り合わなかったのなら仕方ない。ただ、突然指揮官を失った選手たち、さらに代表を応援するファンのことを忘れてはならない。日本代表監督は日本ハンドボール界全体のもので、決して日本協会のものではないのだから。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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