ラグビー日本が目指した「2019年スタイルの進化系」 W杯2大会を指揮、ジョセフ体制7年の評価
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が終わり、日本では国内最高峰のリーグワンの開幕を迎えようとしている中で、日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事がTHE ANSWERの単独インタビューに応じた。日本協会では男子15人制日本代表の次期ヘッドコーチ(HC)を選考中という段階だが、W杯までの強化についての振り返り、そして新体制で臨むこれからの強化に、協会首脳はどんなビジョンを持っているのかを中心に、前編、中編、後編の3回にわたり話を聞いた。日本代表としてW杯にも出場経験のある同専務理事が、フランス大会までの代表をどう評価するのか、世界のラグビーの潮流をどう読み取るのか、そして思い描く新たなジャパンに求めるものは何か。その言葉の中に、これからの日本ラグビーの強化戦略が読み取れる。(取材・文=吉田 宏)
日本ラグビーフットボール協会専務理事・岩渕健輔氏インタビュー前編
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が終わり、日本では国内最高峰のリーグワンの開幕を迎えようとしている中で、日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事がTHE ANSWERの単独インタビューに応じた。日本協会では男子15人制日本代表の次期ヘッドコーチ(HC)を選考中という段階だが、W杯までの強化についての振り返り、そして新体制で臨むこれからの強化に、協会首脳はどんなビジョンを持っているのかを中心に、前編、中編、後編の3回にわたり話を聞いた。日本代表としてW杯にも出場経験のある同専務理事が、フランス大会までの代表をどう評価するのか、世界のラグビーの潮流をどう読み取るのか、そして思い描く新たなジャパンに求めるものは何か。その言葉の中に、これからの日本ラグビーの強化戦略が読み取れる。(取材・文=吉田 宏)
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青山学院高時代から変幻自在なステップとパスワークで「天才司令塔」と注目された岩渕専務理事は、英・ケンブリッジ大修士課程進学とバーシティマッチ(オックスフォード大戦)出場、そして日本代表での1999年W杯出場と、異色の経歴を積んできた。日本ラグビーの舵を握る専務理事としては、日本代表のフランス大会での戦いぶりをどう見ているのだろうか。
「2015年大会からだと8年で3回のW杯がありましたが、15年、19年は3、4勝と非常に前向きな結果も出せました。今回は、過去2大会から見ると久しぶりに“アウェーのW杯”ということで、いわゆる何か特別なことがない大会になって、前回、前々回のような結果を残すことはできませんでした」
今大会を「アウェー」と語ったのは、15年、19年大会が日本にとっては特別な大会だったことを意味する。19年の日本開催を踏まえて、15年大会の時点から、すでに次回大会の成功のためにも日本代表には世界にインパクトを残すような成績が期待されていた。そのため、日本協会でも従来以上の強化環境を整えて臨んだのが15年、19年大会だった。
15年大会は結果的にプール戦敗退に終わったが、第1戦で南アフリカを倒して世界を震撼させ、プール戦で3勝をマーク。日本で開催された19年大会では、史上初のプール戦突破を果たして世界の8強に食い込んだ。期待が高まる中で臨んだ今秋の大会はプール戦2勝2敗に終わり前回の8強入りも逃したが、専務理事は日本代表の現時点の実力を知れたことを収穫と捉えている。
「今回のW杯は、現在の日本代表の本当の力を測るという意味では、すごく大事な大会でしたし、準備も十分にして臨んだ大会だったと思います。現状の力を考えれば、イングランド、アルゼンチンに勝ってベスト8に行く可能性もあったと思いますが、今回の結果が妥当だったと見る関係者も多い。おそらく、今の実力はベスト8に入れるか入れないか、世界のトップ8からトップ10くらいと考えるのが客観的な評価になると思います」