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ラグビー日本代表、世界「最上位層」入りの背景 加速する“縦軸”交流、王国NZと提携した意義

ラグビー界で増えている経度でとらえた縦軸の連携

 では、NZ側にはこの連携にどんなプラス材料を見出しているのか。同国代表は、テストマッチ1試合で億単位の収益を生み出す協会の大きなドル箱だが、神戸製鋼でもプレー経験を持つロビンソンCEOは、日本との連携の意義をこう説明する。

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「長い期間にわたり様々なことを一緒に取り組んでいくことで、この先いろいろな繋がりができると思います。その最たるものがオールブラックス、マオリ、フィフティーンの定期的な日本遠征であり、日本ラグビーの発展に貢献したい。そしてコマーシャルな部分に関しても、可能性を広げることができると考えています。双方の協会が創り出し、高めていけるものがあるのです」

 CEOが強く訴えたのは様々な連携で日本をサポートしていくことだが、同時に日本企業とのスポンサーシップなどNZ国外からの取り込みにも可能性と魅力を感じているのだろう。世界規模の大企業は多くないというNZの現実や、すでに多くの国内企業がラグビーへの投資をしている事情も踏まえると、日本という新しいマーケットに期待するのも不思議ではない。実際にクラブレベルでも、NZの多くのスーパーラグビーチームなどを保有する地域協会が、日本チームと提携し、可能性を打診している事実がある。

 今回の連携からは、ラグビー界の新たな地理的な棲み分けも読み取ることができる。ラグビーでは伝統的に北半球、南半球という、地球の緯度を軸にした地域分けで国際交流が行われてきた。過去には、世界規模のエキシビションマッチで北半球代表VS南半球代表が行われ、国代表による国際大会も先に挙げた6か国対抗、ラグビーチャンピオンシップと、南北で分け隔てられたものが主流だった。

 だが、ここ数年は地球を縦軸の経度でとらえた連携が増えている。顕著な例としては、南アフリカのチームが従来参入していた南半球の国際リーグ「スーパーラグビー(現スーパーラグビーパシフィック)」を離脱して、2021年にヨーロッパをベースにする「ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ」に鞍替えしている。南アフリカは、代表チームが南半球のチャンピオンシップへの参加を続けるなど南半球と北半球を上手く使い分けているが、一方で「北」、つまり6か国対抗への代表参入の可能性も常に取り沙汰されるのも事実だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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