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「血を吐く思いで練習した自負がない」 自分に厳しい陸上・田中希実、克服した精神面の課題

レース後に記念撮影に応じた田中【写真:奥井隆史】
レース後に記念撮影に応じた田中【写真:奥井隆史】

自己評価を高めたことで得たもの「他者の評価、助言もすんなり耳に…」

 米国では標高2000メートルほどのフラッグスタッフで合宿。日本でも1週間ほど御嶽山で高地合宿を積んで今大会に臨んだ。他の選手ならスピード練習に当たるほど速いペースでジョグ。「それはケニア選手が普段やっていることに近い。海外基準で自分もできているという自負は持てた。凄く質の高い練習ができた。どの日もいい練習ができたので、それが自信にも繋がった」

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 とにかく自分に厳しい23歳。やっと自己評価が高まってきたことで、素直にもなれた。

「周りの評価もすんなり耳に入ってくるようになりました。今までサボってはいない。けど、他者がどう評価してくれていても、『血を吐くような思いをして練習した』という自負はなかった。ちょっと涼しい顔をして練習してしまっていました。だから、他者が評価してくれても耳に入ってこない。今回はすんなり他者の評価、アドバイスを受け入れることができて、『みんなで行くぞ』という気持ちで臨めました」

 いつものレース前は負けることが頭に浮かび、「これだけのことをやって負けたらどうしよう」と考え、イライラした。迎えた今回のセイコーGGP。「普通に走れば勝てるはず」。自分に言い聞かせ、落ち着いてトラックに入れた。自己ベストは出場選手中唯一の3分台。「動かすのは自分から」。心に決めて飛び出した。

「凄く自分に厳しいからこそ『良かった』とはなかなか思えないけど、今回は自分の中で合格点の練習を積めた。だからこそ、『もうここで勝てなかったら勝てない』と思うぐらいの気持ちで臨むことができた。それをしっかり表現できたのは良かったですね。自分が出ようと思った時にそのまま行き切ることができた。レース内容は自分の中で凄く良かった」

 約9分間の取材。どことなく笑顔が目立った。

 昨年オレゴン世界陸上は800メートル、1500メートル、5000メートルで日本人初の個人3種目に出場。今季は1500メートルと5000メートルの2種目を軸にし、2週間後に迫った日本選手権も同2種目にエントリーした。今年8月のブダペスト世界陸上は、両種目とも参加標準記録を切っていない。

「相手がいても勝ち切ることを意識する。これから日本選手権まで御嶽で合宿します。1500メートルだけじゃなく、5000メートルの練習にも入っていく。それによって1500メートルの自信も高めていきたい」

 世界を見据えるからこそ悩みも多い。でも、だからこそ成長できた。自分との闘い、世界への挑戦は続いていく。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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