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「早慶明だけがラグビーじゃない」 名将・春口廣、関東学院大を黄金期に導いた雑草魂と反骨心

春口流コーチングの中にある財産

 そんなグラウンド内外で強いチームを完成させた指揮官だったが、部員の不祥事に端を発した低迷の中で、結果的にグラウンドを去ることになった。古巣のチームも、いまだに最強時代には戻れない苦闘が続いているが、自らも成功と失敗が、実は背中合わせだったことを感じている。

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「関東学院の時は、まだ若かったしね、自分1人ででもやっていくという、俺の性格に合っていたんだろうね。人の意見を聞かないからね。だから、いろいろな失敗もあったし、最後は大失敗で辞めるはめになった」

 当然ながら多くのコーチやスタッフの協力があって関東学院大を大学最強に進化させたのだが、すべてを自分で背負ってチームを鍛えてきたという思いはある。それが勝ち続けるなかで、自分のビジョンと異なる意見を聞けない頑迷さになり、黄金時代を支えてきた仲間が1人、また1人とグラウンドを去るなかで“事件”が起きた。

 すでに黄金時代からは20年近い時間が経った。ラグビーのゲームスタイル、コーチング、個々の価値観なども大きく変わるなかで、往年の名将を成功に築き上げた手法も、一部は時代遅れになっているかもしれない。だが強いだけじゃなく、見る者を惹きつけるラグビーでチームをゼロから10年連続で大学日本一を争うチームに育てた春口流のコーチングの中には、必ず学びになる財産はあるはずだ。もちろん、最後の挫折から得るものもあるだろう。

 春口監督が新天地に選んだ横浜TKMでの“第2章”の挑戦でも、関東学院大のレガシーが落とし込めることに期待したい。黄金時代までの実践を生かしながらチームを進化させることができれば、今度は大学ではなく、女子ラグビーに新風を巻き起こすことになるはずだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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