「この戦い方に未来はない」 高校サッカーとロングスロー、過度な勝利至上主義に警鐘
多様な戦術が求められるなかでの短絡的な手段
小学校から高校までの育成年代でノックアウト方式の全国大会が複数開催される日本と、リーグ戦文化が浸透している欧州では、サッカーに対する文化の乖離が見られるという。
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「日本では、試合があった日に『どうだった?』と聞かれると、勝敗やスコアを答えるんです。でもセルビアでは、どんなプレーをしたか。どういう内容だったのか、などと中味を話し合うんです」
サッカーは刻々と変化する状況に応じた判断力を求められ、いかに創造性を発揮できるかを争う競技だ。しかもスペースも時間も制限された現代サッカーでは、同じスローインでもしっかりと味方に繋ぐには相当な工夫が要る。ドイツでS級ライセンスを取得し、ブンデスリーガ1部でヘッドコーチを務めた経歴を持つ鈴木良平氏が指摘する。
「スローインでも5メートル程度の位置にいる味方を使って、いかに次の展開に繋げていくか。それだけでも多様な戦術が求められます。それなのに育成段階からロングスローに頼ってしまって良いのか。それは議論の余地さえないもので、まさに環境が短絡な手段を生み出してしまったのでしょうね」
後編では、さらに欧州と日本の育成環境の乖離について掘り下げていく。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)