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ラグビーW杯まで11か月、日本代表の現状は? “1.5軍”豪州戦で見えた列強打破の条件

注目のテストマッチ3連戦で期待する選手

 最後に、オーストラリアAとの3連戦でのパフォーマンスから、これからのテストマッチ3連戦でのプレーを期待したい選手を挙げておきたい。

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 まず、不動の13番を、この3連戦でさらに固めつつあるのがCTBライリーだろう。2021年10月のオーストラリア代表戦で初キャップを獲得して、その後のテストマッチ全7試合中6戦で13番を背負う。第1戦の前半26分、SO(スタンドオフ)中尾隼太のショートパントを捕球した後のラン、9分後の右オープン攻撃ではインサイドに切るステップと、ともに減速が少なく、一気にトップギアに入る加速力が光る。攻撃的なCTBとしては世界でもかなり高い水準と評価できそうだ。コラムの中でも紹介した山中のトライのお膳立てとなるグラバーキックなど、味方を生かすプレーも確実に身につけ、187センチ・102キロのサイズを生かしたハードタックルも効いている。

 夏の代表戦から継続して好調なのはFLリーチ。6月のウルグアイ代表戦でのプレーを「過去ベストに近い」と語っていたが、3試合先発したオーストラリアA戦でも気を吐いた。第1戦の前半20分に見せた相手WTBのカウンターアタックに、タックルからボールに絡むプレーで反則を奪うなど、コンタクトエリアでのファイトで何度も好プレーを連発した。

 19年W杯前から股関節の痛みに苦しんできたが、大会後のコロナによる活動停滞を利用して手術を行い、生まれ変わった。股関節の回復だけではなく、痛みがなくなった影響で、ウェートトレーニングやフィットネス強化など、基盤となる体の再生ができたことが好調に繋がっている。秋の強化合宿スタート時に、自らのチャレンジポイントを「ボールタッチ、タックル、アクションの回数をどれだけ増やせるか、連続でできるかが課題」と話していたが、まさに公約通りのパフォーマンスを3戦連続で見せ続けた。

 若かりし頃は、フィジー人の母の影響かBK級のスピードが特徴だったが、いまや高い経験値を生かした危機察知能力で、防御面でチームに多大な貢献をしている。19年W杯後に、リーチを主将から外して自分自身のプレーに専念させたジョセフHCも、「彼のパフォーマンスは素晴らしかった。前でしっかりと体を張ってチームをリードしてくれた部分が何度もあった。手術をしてベストなコンディションに戻ってきたことは本当に嬉しいことだ」と称賛する。

 ライリー同様に、2019年W杯以降の新たなメンバーとして着実に経験を積んでいるのが、LOワーナー・ディアンズ(BL東京)だ。2年前は高校生として花園でプレーしていたが、201センチというティア1チームでも長身の高さを買われて、昨年から桜のジャージーに袖を通す。しかし、代表でのプレーで光るのは高さだけではなく、そのフィジカリティーの可能性だ。一見スリムに見える体形は、パワー面では不安を感じさせるが、オーストラリアの代表予備軍を相手にも当たり負けせず、コンタクトエリアで1歩、2歩と確実に前に出られる力強さを見せる。ここから始まる母国・ニュージーランド、イングランド、フランスというトップネイションズとの真剣勝負で、今まで通りのパフォーマンスを見せることができれば、1桁背番号のジャージーを大きく引き寄せることになりそうだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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