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健康管理に“絶対的な答え”なし メッシの例に見るアスリートの食生活との向き合い方

栄養面の充実は選手の体を支える土台だが…

 コンディション管理次第で、力の差はひっくり返る時代だ。

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 コンディションの源となるモノの一つに、食生活があるだろう。栄養面の充実は、プロ選手だけでなく、スポーツをするあらゆる子供にとって土台になる。偏食は、体の偏りも意味する。

 例えば、世界最高のサッカー選手に君臨したリオネル・メッシは、完全な肉食派だった。アルゼンチンには、『アサード』という骨付き牛肉の塊を炭火でじっくりと焼いて食べる文化がある。メッシはこれが大好物だった。アサードはあくまで週末のパーティースタイルだが、日常的にステーキを好んで食べていた。肉が一番、彼のパワーを引き出したからだ。

 しかし肉食が行きすぎると、20代前半には体重がやや増えて、同時に怪我も増えるようになった。そこでメッシは、泣く泣く食生活を変えた。肉食から魚食に変え、体を絞るようになった。おかげで俊敏性を取り戻し、怪我もしなくなって、一気にスターダムを駆け上がったのである。

 言うまでもないが、肉食から魚食に変えたからと言って、サッカーが上手くなるわけではない。肉には肉の長所もあって、メッシも回数は減らしたが、アサードを楽しんでいるという。心理的ストレスになるほどの栄養管理は適切ではない。魚食にも、メリットとデメリットがあるからだ。

<何をどう食べたら、プロサッカー選手になれるのか?>

 そうした議論をしがちだが、一般化できるものではない。体の作り方は人それぞれで、絶対的な答えはないだろう。行き着くところ、自身の判断でベターをつかみ取るしかない。周りにガイドされることで、効率的アプローチはできるかもしれないが、急がば回れ、で学べることもあるはずだし、なんとも言えないのだ。

「生活は規則正しく、偏食は厳禁」

 そんな指導者が大半だろうし、それは間違ってもいない。しかし、絶対なことなどないのだと知るべきだろう。その上で、自分がどういう生活をして、何を食べたら、調子が良いのか。子供自身、選手自身がアジャストできるようになることが大事だ。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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